月経前症候群(PMS):月経前に起こる不快な精神症状

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一般的に、女性は男性よりも感情的な性質があるといわれています。「女心と秋の空」ということわざがあるように、昔から「女性の心は気まぐれで変動しやすい」といわれてきました。

特に、月経前の女性ではイライラしやすいことが有名です。男性にはそのような精神状態の変化が起こりにくいため、「月経前の女性には関わりづらい」と思う男性は多いです。

ただ、月経前のイライラは女性自身も扱いきれないことが多いです。そのため、月経前のイライラは女性に社会的な損失をもたらすことがあります。

このような、月経前に起こる心身の不快症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。また、PMSのうちイライラなどの精神症状を「月経前不快気分障害(PMDD)」いいます。PMS経験者のほとんどがPMDDを感じたことがあるといわれています。

PMSが起こる原因は、明確には解明されていません。ただ、月経周期によって変わる体内のホルモンバランスが精神に影響を与えることがある」とわかっています。そこで、ここでは月経前に起こるイライラなどが起こるメカニズムと、その対策について述べていきます。

女性ホルモンとイライラの関係性

女性の身体は、月経周期によってホルモンの分泌量が大きく変わります。月経が終わる頃には、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の分泌量が増加し始めます。エストロゲンは、月経の約14日前である「排卵期」に分泌量が急減し、その後ゆるやかに分泌量が低下します。

エストロゲンには、脳内の神経伝達物質の一つである「セロトニン」の分泌を増やしたり、セロトニンが働くためのスイッチを増やしたりする働きがあります。

セロトニンは、不安感やイライラを抑えて精神を安定させる作用のある物質です。そのため月経前は、エストロゲンの分泌量が低下するためセロトニンが働きにくくなり、イライラや不安感などの症状が出やすくなります。

また、排卵期には女性ホルモンの一つである「プロゲステロン」の分泌が増えます。プロゲステロンの分泌は数日でピークを迎えて、月経の7~10日前には分泌量が低下し始めます。

プロゲステロンには、「インスリン」というホルモンの働きを抑制する働きがあります。食事を摂ると血中の糖の濃度(血糖値)が上がります。インスリンは、血中に存在する糖を細胞に取り込ませることによって血糖値を下げます。

このとき、プロゲステロンによってインスリンの働きが抑制されていると、血糖値がうまく下がりません。そのため、身体は血糖値を下げるためにたくさんのインスリンを分泌します。

インスリンが過剰に分泌されると、血糖値が急激に低下しやすくなります。血糖値が低下すると、血糖値を上げるために「アドレナリン」というホルモンが分泌されます。

アドレナリンは、身体を緊急事態に備えた状態にするホルモンです。そのため、アドレナリンが分泌されると、身体が緊張・興奮して攻撃的な精神状態になります。

つまり、プロゲステロンは血糖値の低下を起こりやすくし、これによってアドレナリンの分泌量が増えてイライラしやすくさせるのです。このように、月経前はさまざまな要因でイライラなどの精神症状が出やすくなります。

月経前のイライラ対策:セロトニンを増やす生活習慣

前述のように、月経前におけるイライラの原因の一つは脳内のセロトニン不足です。そのため、セロトニンを増やす生活習慣を心がけることでイライラを軽減することができます。

セロトニンは、日光を浴びたりリズム運動を行ったりすることによって活性化します。そのため、毎朝起床後に日光を浴びるように心がけ、朝に散歩などの歩行運動を行うことが効果的です。

また、セロトニンを増やすためには、材料となる栄養素を摂取することが重要です。セロトニンは、大豆や牛乳などに含まれる「トリプトファン」を材料に作られます。また、トリプトファンからセロトニンを作るためには「ビタミンB6」も必要です。そのため、これらを含む食材を意識して摂取することが大切です。

特に、月経前はビタミンB6の必要量が高まります。ビタミンB6はさまざまな食材に含まれているため、通常の食事で不足することはありません。ただ、食事が偏ると不足することがあるため、食事制限によるダイエットなどは控えめにすることが賢明です。

月経前のイライラ対策:低血糖が起こらない生活習慣

前述のように、低血糖になるとイライラしやすくなります。そのため、低血糖にならない生活習慣を行うことが大切です。

血糖値が急上昇するとインスリンの分泌量が増えるため、反動で血糖値が急低下しやすくなります。そのため、イライラ防止のためには血糖値が急に上がる食材を避けることが大切です。

小麦粉や白飯などの精製された炭水化物は吸収が早いため、摂取すると血糖値が急上昇しやすいです。特に、白砂糖の摂取は急激な血糖値の変動を起こします。月経前は甘いものが食べたくなることが多いです。ただ、イライラ防止のためには砂糖を使用したお菓子などを避けることが賢明です。

また、食事を控えることも血糖値の低下につながります。そのため、適度に食事や間食を摂り、消化しづらいものを選ぶことが大切です。小麦粉食品や白飯を全粒粉食品、玄米・雑穀前に置き換えたりするといいです。また、間食はナッツなどで摂ることがおすすめです。