月経前症候群(PMS)のメカニズム:基礎体温の記録によるPMS対策

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月経には、さまざまな心身の症状を伴うことが知られています。また最近では、月経中だけではなく月経前にも心身の不調が起こりやすいことが知られています。

このような、月経前に起こる心身の不調を「月経前症候群(PMS)」といいます。PMSにはさまざまな症状があり、これらはすべて女性ホルモンのバランスが変化することによって起こります。

特に「月経前のイライラ」は、本人がPMSと気付かずに過ごしてしまい、対人関係を悪くしてしまったり重大な判断ミスを犯してしまったりすることがあります。そこで、ここでは月経前症候群を起こす女性ホルモンについて解説し、PMSが起こる時期の予測法について述べていきます。

PMSが起こるメカニズム

女性は、約1ヶ月周期で体内のホルモンバランスが変化します。これによって、月経や排卵などが起こります。月経が終わる頃、卵巣では卵子を包んだ「卵胞(らんぽう)」が成熟し始めます。卵胞からは「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が分泌されます。

体内のエストロゲン濃度がピークに達すると、脳内から排卵を促すホルモンが分泌されます。これによって、成熟した卵胞から卵子が飛び出します。これを排卵といいます。

排卵後の卵胞は、黄体という組織に変化して「黄体ホルモン(プロゲステロン)」というホルモンを分泌し始めます。このとき、黄体は少量のエストロゲンも分泌します。

プロゲステロンは、排卵の数日後に分泌量がピークを迎えます。その後、分泌量は低下していき、排卵から約2週間後には黄体が消滅して体内のプロゲステロン・エストロゲン濃度が激減します。

妊娠を成立させるためにプロゲステロンやエストロゲンは、子宮内膜を厚くして維持する働きがあります。そのため、これらのホルモンが分泌されなくなると、子宮の内膜が維持されず体外へ排出されます。これを月経といいます。

このように、月経周期では2つの女性ホルモンのバランスが変動します。PMSは、このホルモンバランスの変動によって起こります。

PMSが起こるメカニズムは、正確には解明されていません。ただ、プロゲステロンには便秘やニキビ、むくみなどが発生しやすくなったり太りやすくなったりする働きがあることがわかっています。これらはすべてPMSの代表的な症状です。

前述のように、通常エストロゲンは月経前に体内濃度が低下します。エストロゲンは脳内の神経伝達物質の分泌に関与しているため、月経前にはエストロゲン不足による心身の不調が起こることがあります。

また、重いPMSがある人はプロゲステロンの分泌量が少なかったり、体内のエストロゲンの濃度が高かったりするというデータがあります。

プロゲステロンには、エストロゲンの働きを抑制する作用があります。そのため、プロゲステロンが不足するとエストロゲンの働きが過剰になることがあります。過剰なエストロゲンは、不眠や疲労などのさまざまな症状を起こすことがわかっています。

このように、月経周期を起こす2つの女性ホルモンは、多くても少なくてもPMSの原因になります。そのため、PMSの防止にはホルモンのバランスを整えることが大切といえます。

PMS対策:基礎体温によるPMSの予測

ホルモンバランスを整えるためには、バランスの良い食事と睡眠、ストレスの少ない生活を行う必要があります。ただ、現代ではこれらがすぐに実現できるとは限りません。そのため、PMSとうまく付き合うことも大切といえます。

PMSは、ホルモンバランスが大きく変動する時期である月経の約7~10日前に起こることが多いです。そのため、自分の月経周期を知ることでPMSが起こりやすい時期を予測することができます。

自分の月経周期を知るためには、基礎体温を記録することが有効です。プロゲステロンには体温を上げる働きがあります。そのため、黄体によるプロゲステロンの分泌が始まると、基礎体温が0.4℃程度上昇します。

黄体の寿命は約2週間なので、基礎体温が上がったタイミングから約2週間後に月経が起こります。そのため、基礎体温が上昇してから4~7日後にPMSが起こりやすいということが推測できます。

基礎体温は、起床してすぐに寝たままの状態で舌の下に体温計を入れて測ります。このとき、より目盛の細かい婦人体温計で測ると高温期がわかりやすくなり、PMSの予測が容易になります。

測った基礎体温は、月経開始日や体調などとともに毎日記録します。これによって、自分の月経周期を把握できて、PMSが起こりやすい時期や起こる症状が推測できるようになります。

前述のように、PMSの中でも「月経前のイライラ」は多くの人が経験する症状です。PMSが起こりやすい時期を予測できると、イライラの原因がわかるため感情を抑えやすくなります。

また、PMS期に大きな仕事を入れないことによって重大なミスを防げたり、必要以上の予定を入れないことによって対人トラブルを回避できたりします。

さらに、PMSの症状も記録しておくと、頭痛が起こりやすい人は「PMS期には頭痛薬を持ち歩く」という判断ができますし、にきびができやすい人は「月経前だけスキンケアを変える」という判断ができます。

このように、PMSが起こりやすい時期を予測できると、PMSによるさまざまなトラブルを回避しやすくなります。そこで、快適な日常生活を行うために、基礎体温を記録することが大切です。