月経前の頭痛:ホルモンバランスの急激な変動による緊張性頭痛

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月経前に下腹部痛や頭痛、イライラなどの不快症状が起こる人は多いです。これらは、月経前の急激なホルモンバランスの変化が全身に作用するために起こります。このような月経前に起こる不快な症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。PMSの症状には個人差があるため、自覚していない人が少なくありません。

PMSによる自覚しにくい症状の一つが「月経前の頭痛」です。頭痛は、ストレスなどのさまざまな要因によって起こります。そのため、ほかの原因による一時的なものだと捉える人が多く、PMSと認識されにくいのです。

ただ、頭痛の原因がPMSであれば、生活習慣を改善することによって症状が緩和することがあります。そこで、ここでは月経前に起こる頭痛のメカニズムと対策について述べていきます。

月経前の頭痛の原因:急激なホルモンバランスの変化による緊張性頭痛

女性の身体は、月経周期によってさまざまなホルモンのバランスが変化します。これらのホルモンは、大脳のすぐ下にある「脳下垂体」と生殖器である「卵巣」から分泌されます。

脳下垂体は、「視床下部」からの司令を受けて卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)などを分泌しています。これらのホルモンは、卵巣を刺激して卵子を成熟させたり排卵を起こしたりします。

FSHやLHは、卵巣に作用して卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促します。視床下部は、分泌されたこれらのホルモンを感知して、脳下垂体にホルモン分泌の司令を出します。このように、月経周期を起こすホルモンバランスは、視床下部によってコントロールされています。

視床下部は、このようなホルモンバランスだけではなく、さまざまな機能をコントロールしています。そのうちの一つに、「自律神経系の調整」があります。

自律神経系とは、呼吸や消化などの、人間が無意識に行っている生命活動を管理する神経系です。自律神経系は「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。

交感神経は、興奮時や緊張時に優位になる神経系です。交感神経が優位になると、血圧や心拍数が上がり、呼吸数が増えます。一方で、副交感神経が優位になると、これらとは反対の現象が起こります。視床下部は、これら2つの神経の切り替えをコントロールしています。

このように、ホルモンバランスと自律神経系は同じ器官によってコントロールされています。そのため、ホルモンバランスの乱れがあると、自律神経系も乱れやすくなります。

月経前は、黄体が消滅することによって卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量が急激に低下します。視床下部はこの影響を受けるため、月経前は自律神経系が乱れやすくなるのです。

現代の日本人はストレスが多いため、交感神経が優位になっている傾向があります。そのため、自律神経系が乱れると副交感神経への切り替えがうまくいかずに交感神経の優位が続くことが多いです。

交感神経の優位が長く続くと、血流が悪くなります。すると、脳内などの組織に十分な酸素や栄養素が届きにくくなり、老廃物が溜まりやすくなります。溜まった老廃物は、まわりの神経を刺激して痛みを起こします。このようにして起こる頭痛を「緊張性頭痛」といいます。

緊張性頭痛は、慢性頭痛のうちで一番多い症状です。緊張性頭痛の多くが我慢できる程度の痛みであるため、PMSと知らずに我慢している人は多いです。

ただ、このように、月経前のホルモンバランスの急激な変化は自律神経系を乱して緊張性頭痛を起こしやすくします。そのため、女性に起こる緊張性頭痛は、PMSであることが少なくないのです。

月経前に起こる緊張性頭痛への対策

月経前のホルモンバランスの変化は、生理的なものであるため抑制することができません。ただ、ホルモンバランスが乱れやすい生活習慣を行うと、自律神経系の乱れによる緊張性頭痛が起こりやすくなったり、悪化したりします。

ダイエットのための食事制限は、ホルモンバランスを乱す原因になります。

食事制限を行うと、ホルモンの働きに関与している「ビタミンB6」や「ビタミンE」、血管の収縮に関与している「マグネシウム」などの微量栄養素が不足しやすくなります。

特に、月経前にはビタミンB6とマグネシウムの必要量が高まります。そのため、月経前の緊張性頭痛を防止するためには、食事制限を行わずにバランスの良い食生活を心がけることが大切です。

また、過度なストレスがあると、自律神経やホルモンバランスを乱して緊張性頭痛が起こりやすくなり、PMSがひどくなりやすいです。

特に、ストレスがあると肩や背中に力が入って凝りやすくなります。これらの凝りも緊張性頭痛の原因となります。そのため、緊張性頭痛の防止には、リラックスする時間を設けて、これらの筋肉を意識してほぐすことが大切です。

例えば、好きな音楽を聞いたり好きな香りを嗅いだりしながらのストレッチは、心身ともに緊張をほぐすことができるためPMSの頭痛緩和に有効です。半身浴を行いながらのストレッチもおすすめです。

また、寝不足や運動不足はストレスの原因になります。そのため、適度な運動を心がけて規則正しい生活を行うことが大切です。

このように、PMSによる緊張性頭痛の防止には生活習慣の見直しが有効です。ただ、月経が毎月起こるように、PMSも毎月起こる可能性があります。そのため、これまで述べてきたような生活習慣を継続することが大切です。