月経前症候群(PMS):ストレスとPMSの関係性

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月経前には、さまざまな不快な症状が出やすいことが知られています。このような、月経前に不快な症状が起こることを「月経前症候群(PMS)」といいます。

PMSが起こるメカニズムは、正確には解明されていません。これは、PMSにはさまざまな症状があり、個人差が大きいためです。

ただ、月経前はホルモンバランスが大きく変わる時期であるため、PMSのほとんどの症状が、ホルモンバランスの変化が原因であるといわれています。また、これに生活習慣や環境などの要因が加わると、PMSが悪化しやすいことがわかっています。

特に、ストレスはPMSを増悪させる原因の代表的なものの一つです。そこで、ここではストレスとPMSの関係性について解説し、PMS緩和のためのストレス対策について述べていきます。

ストレスによるホルモンバランスの乱れ

女性の身体では、約1ヶ月周期でホルモンバランスの変化が起きています。このホルモンバランスの変化によって起こる月経や排卵などのバイオリズムを「月経周期」と呼びます。

月経周期を起こすホルモンは、「脳下垂体」と「卵巣」から分泌されています。

月経の頃に、脳下垂体が「視床下部」からの司令を受けて卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌します。FSHには、卵子を成熟させる働きがあります。

FSHによって卵子が成熟すると、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。すると、視床下部が「エストロゲンの体内濃度が高まった」ことを感知して、黄体化ホルモン(LH)の分泌を脳下垂体へ指示します。

分泌されたLHは成熟した卵子を刺激して、排卵を起こします。卵子を包んでいた卵胞は、排卵後に黄体という組織に変化して、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモンを分泌し始めます。

妊娠が成立しない場合、黄体は排卵から約14日後に消滅して月経が起こります。これによって黄体からのホルモン分泌がなくなるため、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量が低下して体内の濃度が低くなります。

視床下部は、これらホルモンの濃度低下を感知して、脳下垂体へ「FSHの分泌」を指示します。これにより、再び卵胞が刺激されて卵子の成熟が始まります。このように、視床下部はホルモンのコントロールを行うことによって月経周期を管理しています。

一方で、視床下部はストレスに対処する働きもあります。生物にとって、ストレスは生命の危機であることがほとんどです。このような危機を回避するために、視床下部がストレスを敏感に感知して、身体を臨戦態勢に整えます。

ただ、現代におけるストレスのほとんどが、生命の危機ではありません。しかしながら、多くのストレスが長期に渡るものになっています。

視床下部がこのような長期的で強いストレスの影響を受けると、視床下部のコントロール機能が低下します。そのため、ストレスがあると、ホルモンのコントロールがうまくいかずに、ホルモンバランスが乱れることがあります。

前述のように、月経周期はさまざまなホルモンが影響しあうことによって起こります。また、「一生で分泌されるホルモン量はティースプーン1杯分」といわれるほど、ホルモンは少量でさまざまな働きをしています。そのため、ストレスによってホルモンバランスが乱れると、ホルモンによる不快な症状が現れやすくなります。

例えば、代表的なPMSの症状である「月経前のイライラ」は、月経前にエストロゲンの濃度が低下することによって起こりますが、エストロゲン濃度が高くても起こります。ホルモンの分泌は、適量であることが大切なのです。

このように視床下部は、ホルモンだけではなくストレス対応もコントロールしています。そのため、ストレスがあるとホルモンバランスが乱れ、PMSが強く現れやすくなるのです。

PMS緩和のためのストレス対策

ストレスを解消するためには、原因を排除することが有効です。ただ、ストレス原因の多くは、すぐに排除できません。また、ストレスの感じ方は人それぞれであるため、全ての人に共通するストレス解消法はありません。

ただ、現代人の多くは運動不足であり、運動不足もストレスの原因となります。そのため、通勤・通学時や休日に意識して身体を動かすことが大切です。

また、一日に一度「何も考えない時間」を作ることもストレス対策に有効です。現代では情報を扱う機会が多く、思考している時間が長いです。

思考する時間が長いと、考えが後ろ向きになりやすく、ストレスの原因について考える時間も長くなります。そのため、ストレス対策には一日一度「ぼーっとする」ことが大切です。

「何も考えない」ということが困難な人は、読書や音楽などに集中することによって、ストレスの原因から一時的に離れることができます。

ただ、携帯電話やパソコンなどの使用は、頭が冴えてしまうことが多いため控えるのが賢明です。また、就寝時間前にこれらを使用すると、眠りにくくなったり眠りが浅くなったりします。そのため、一日に一度はこれらの情報端末から離れる時間を作ることが大切です。

このように、ストレスはホルモンバランスを乱してPMSを悪化させることがあります。毎月起こる重症なPMSは、女性の生活の質を大きく下げます。

前述のように、ストレスを完全になくすことは困難です。ただ、ストレスとうまく付き合う術を身につけることで、PMSが緩和しやすくなります。自分なりのストレス解消法を見つけて、長く続く月経周期とうまく付き合っていきましょう。