月経前症候群(PMS):月経前に起こる眠気や睡眠障害

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月経中に不快な症状が起こりやすいということは、よく知られています。特に、月経中に強い眠気を感じる人は多いです。ただ、月経中だけではなく、月経前も眠気などの不快な症状が起こりやすいです。

このような、月経前に起こる不快な症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。PMSは個人差が大きく、症状は200種類を超えるといわれています。

PMSの一つに、月経前の眠気があります。重症な人では、昼間に強い眠気が起こって日常生活に支障をきたすことがあります。一方で、月経前に眠れなくなるというPMSが起こる人もいます。実は、これらの正反対に見える症状は同じメカニズムで発生しています。

そこで、ここでは月経前の眠気や睡眠障害のメカニズムについて解説し、その対策について述べていきます。

眠気や睡眠障害が月経前に起こるメカニズム

女性は、月経が終わる頃に「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌量が増加します。エストロゲンの分泌量がピークに達すると、それが合図となって排卵の準備が始まります。そして数日後に排卵が起こり、女性ホルモンの一つである「プロゲステロン」とエストロゲン分泌量が増加し始めます。

これらの女性ホルモンは、排卵から数日後に分泌量が低下し始めます。そして、排卵から約2週間後にはこれらの分泌量が大きく減少し、これが引き金となって月経が起こります。

これらの女性ホルモンには、妊娠のために子宮内膜を厚くしたり維持したりする働きがあります。また、エストロゲンには「セロトニン」という物質の分泌を促したり、セロトニンを働きやすくしたりする作用もあります。

セロトニンとは、不安感やイライラを抑えて精神を安定させる働きのある神経伝達物質です。これが脳内に不足すると、不安感やイライラなどの精神症状が出やすくなります。また、セロトニンは「メラトニン」というホルモンの材料にもなります。

メラトニンとは、睡眠を促すホルモンのことです。通常、メラトニンは起床後約15~16時間後に分泌量が増えます。ただ、材料となるセロトニンが不足していると、メラトニンがうまく分泌されないことがあります。

メラトニンがうまく分泌されないと、身体が睡眠に適した状態にならないため、入眠しづらくなります。また、眠れても睡眠が浅くなるため、眠気や疲れが取れにくくなります。

このように、メラトニンが不足すると睡眠障害が起こるため、眠れなくなったり起きているときに眠気が起こったりします。

月経前はエストロゲンの分泌量が低下するため、材料となるセロトニンが少なくなってメラトニンが不足します。そのため、月経前に睡眠障害が起こり、眠りにくくなったり昼間に眠気が起こったりするのです。

PMSにおける睡眠障害や眠気対策

前述のように、PMSによる眠気や睡眠障害などは、メラトニンの材料であるセロトニン不足によって起こります。そのため、セロトニンを増やす生活習慣を行うことによって、これらのPMSが改善することがあります。

セロトニンを増やすためには、材料となる「トリプトファン」が必要です。トリプトファンは「必須アミノ酸」の一つで、人体内では作ることができません。そのため、食べ物から摂取する必要があります。

トリプトファンは、タンパク質を含む食品に多く含まれています。特に、大豆やバナナなどに含まれる植物性タンパク質は、脳内のセロトニンの材料になりやすいことがわかっています。そのため、PMSによる睡眠障害防止には、これらの食品の摂取が有効です。

また、セロトニン合成のためにはビタミンB6も欠かせません。ビタミンB6は幅広い食品に含まれているため、通常の食生活で不足しづらい栄養素です。

ただ、極端な食事制限をしたり、空腹をお菓子で満たしたりなどの偏った食生活ではビタミンB6の不足を招くことがあります。また、月経前はビタミンB6の必要量が高まります。そのため、このような偏った食事は避けてバランスの良い食生活を心がけることが大切です。

また、セロトニンは反復運動を行うことで分泌されやすくなります。そのため、よく噛んで食べたり歩行やランニングなどの運動を行ったりすることで、PMSによる睡眠障害が改善されやすくなります。

生活が不規則だと、体内時計が狂ってメラトニンがうまく分泌されにくくなります。体内時計は、日光を浴びることによってリセットされます。また、日光を浴びるとセロトニンの分泌も促されます。そのため、眠気や睡眠障害などのPMS防止には、就寝と起床の時間を一定にして、毎朝同じ時間に日光を浴びることが大切です。

また、PMSなどによる眠気は、カフェインの摂取によって一時的に緩和されます。そのため、PMSの眠気対策にコーヒーなどのカフェイン含有飲料を多く飲む人は多いです。

ただ、カフェインの摂取は睡眠障害を悪化させることがあり、眠気がひどくなりやすいです。そのため、カフェインを必要以上に摂取することは避けて、午後にはコーヒーなどを飲むのを控えるのが賢明です。

このように、月経前に起こる眠気や睡眠障害対策には、規則正しい生活を行ってバランスの良い食事を心がけることが大切です。そのため、これらのPMS症状が重い人は、一度生活習慣を見直してみることをおすすめします。