月経前症候群(PMS):月経前の免疫力低下による手湿疹

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月経前には、イライラや腹痛などの不快な身体症状が起こりやすいです。このような月経前に起こる症状を、「月経前症候群(PMS)」といいます。

PMSにはさまざまな種類があり、完全には解明されていません。ただ、月経前はホルモンのバランスが大きく変動する時期です。そして、PMSにおける多くの症状が、ホルモンバランスの変動が原因であることがわかっています。

月経前には、このようなホルモンバランスの変化から免疫力が低下しやすいです。そのため、月経前に風邪を引きやすいという女性は少なくありません。このような免疫力の低下は、女性に多い「手湿疹」の原因の一つでもあります。

そこで、ここでは月経前に手湿疹が起こりやすいメカニズムと、月経前の手湿疹対策について述べていきます。

手湿疹が発生するメカニズム

湿疹とは、外部からの刺激やアレルギーによって皮膚に炎症が起こることをいいます。特に、手に発生した湿疹は「手湿疹」と呼ばれています。手湿疹は、別名「主婦湿疹」とも呼ばれており、主婦を中心とした女性に多い湿疹です。

通常、皮膚は皮脂によって乾燥や摩擦などの刺激などから守られています。ただ、手のひらには皮脂を分泌する「皮脂腺」がありません。そのため、手のひらは外部からの刺激に弱いです。

また、炊事や掃除では手を水にさらす機会が多いです。水は、皮膚を守っている皮脂を洗い流します。そのため、家事を行うことが多い女性の手は、刺激に弱くなっていることが多いです。

さらに、洗剤は皮脂とともに「角層間脂質(かくしつかんししつ)」を洗い流します。

角層間脂質とは、肌表面の角質と角質の間にある脂質のことです。角層間脂質には角質同士をくっつける働きがあり、これによって皮膚を刺激から守っています。

皮脂や角層間脂質が減少することによって皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚の内側がむき出しに近い状態になるため、刺激を受けやすくなります。そのため、洗剤や摩擦などの刺激で炎症が起こりやすくなり、手に水ぶくれや赤い盛り上がりができたりします。これが手湿疹です。

手湿疹は痒みや痛みを伴うため、日常生活が送りにくくなります。また、手湿疹の治療には手をなるべく使わないことが大切ですが、実際に行うことは困難です。そのため、手湿疹は「治りづらく再発しやすい」という特徴があります。

手湿疹の原因:ホルモンバランスの変化によるバリア機能や免疫力の低下

前述のように、手湿疹は皮膚のバリア機能が低下しているときに外部から刺激があることによって起こります。ただ、身体の免疫力が低下しているときも、湿疹が発生しやすくなります。

月経前には、「エストロゲン」というホルモンの分泌量が低下します。エストロゲンには、神経伝達物質の一つである「セロトニン」の分泌を促す働きがあります。

セロトニンには、過度の興奮を抑えて精神を安定させる作用があります。そのため、月経前にエストロゲン分泌量低下によってセロトニンがうまく分泌されないと、ストレスを感じやすい状態になります。そして、過度なストレスは免疫機能を混乱させます。

つまり、月経前はエストロゲン低下によってセロトニンが不足してストレスを感じやすくなるため、免疫力が下がります。前述のように、免疫力が低下すると湿疹が発生しやすくなります。

また、エストロゲンには炎症や免疫を抑制する働きがあります。そのため、月経前にエストロゲンが低下すると、免疫が過剰反応してアレルギーがひどくなることがあります。免疫が過剰反応すると、小さな刺激でも炎症が起こりやすくなるため、手湿疹も発生しやすくなります。

さらに月経前は、分泌量が増える「プロゲステロン」の影響で身体の代謝が低下します。そのため、皮膚の生まれ変わりが遅くなり、肌のバリア機能が低下しやすくなります。

このように月経前は、さまざまな要因で手湿疹が発生しやすい時期です。そのため、月経後に手湿疹が治っても、月経前に再発することが多いのです。

月経前の手湿疹対策

前述のように、手湿疹の原因は皮膚のバリア機能低下と外部からの刺激です。そのため、手湿疹が起こりやすい月経前は、皮膚のバリア機能を守ったり手への刺激を少なくしたりする工夫が大切です。

乾燥は、皮膚のバリア機能を低下させる大きな要因の一つです。家事を行う女性の手は、水や洗剤で皮脂を失う機会が多いので乾燥しやすいです。そのため、家事の合間にこまめに保湿することが大切です。

特に、秋から冬にかけては肌が乾燥しやすい時期です。肌の露出を避けたり部屋の湿度を保ったりなど、保湿対策を強化することが必要です。また、洗剤や水は肌のバリア機能を低下させるとともに、それ自体が刺激となります。そのため、これらを使うときはゴム手袋を着用することがおすすめです。

月経前におけるホルモンバランスの変化は、生理的なものであるため抑制できません。そのため、月経前は手湿疹などのトラブルが起こりやすい時期と認識して、症状が起こる前にこれまでに述べたような対策を実施して予防することが大切です。