月経前症候群(PMS):月経前に体臭がきつくなる原因と対策

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月経にさまざまな身体的症状を伴うことは有名な話です。最近では、月経前に心身の不調が起こりやすいということが知られてきました。このような、月経前に起こる不快な症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。

PMSには多くの症状があり、その種類は200を超えるといわれています。その中でも、「PMSによる体臭」はあまり知られていません。ただ、女性にとって体臭はかなり苦痛なものであるため、PMSと知らずに悩んでいる人が多いと推察されます。

そこで、ここでは月経前に体臭が起こりやすくなるメカニズムと、月経前の体臭対策について述べていきます。

月経前に起こる体臭の原因:男性ホルモン

一般的に、体臭は女性よりも男性の方が強いです。これは、男性ホルモンの1つである「ジヒドロステロン」に皮脂を過剰に分泌させる作用があるためです。ジヒドロステロンは、「テストステロン」という男性ホルモンが酵素と反応することによって発生します。

皮膚には、さまざまな細菌が住み着いています。皮脂は、このような細菌のエサとなります。細菌が皮脂を食べて分解すると、体臭の元となるニオイ成分が発生します。そのため、ジヒドロステロンによって細菌のエサである皮脂が過剰分泌されると、強い体臭が起こります。

このように体臭の元となるテストステロンは、男性だけではなく女性の身体にも存在しています。通常、女性の血液中にあるテストステロン量は男性の約1/20です。

ただ、月経前に女性ホルモンの分泌量が減ると、相対的に男性ホルモンの量が多くなって作用が強く出ることがあります。つまり、月経前には男性ホルモンの比率が高くなって体臭がきつくなることがあるのです。

月経前に起こる体臭の原因:エストロゲン量の低下

女性の身体では、約28日周期で女性ホルモンのバランスが変動します。女性ホルモンの1つである「エストロゲン」には、汗腺の機能を制御して汗を抑える働きがあります。

エストロゲンは、月経の約1週間後にピークを迎えて、月経前には分泌量が低下します。つまり、月経前にはエストロゲンによる影響が少なくなるため、汗が増えやすいです。

汗には細菌のエサが含まれています。前述のとおり、細菌のエサが多いと体臭がきつくなります。そのため、月経前には体臭がきつくなりやすいのです。

さらに、エストロゲンには、間接的にストレスに強い身体を作る働きがあります。そのため、月経前にエストロゲン量が低下すると、ストレスを感じやすくなります。前述のジヒドロステロンは、ストレスで活性化することがわかっています。

また、エストロゲンには強い抗酸化作用があります。そのため、エストロゲンが体内に多くあるときは、皮脂が酸化することによって発生する「加齢臭」が起こりにくいです。ただ、月経前にエストロゲンによる抗酸化作用が低下すると、加齢臭を発生しやすくなります。

このように、エストロゲンはさまざまな働きによって体臭が発生するのを防いでいます。そのため、エストロゲン量が低下する月経前は、月経後に比べて体臭が発生しやすいのです。

月経前に起こる体臭の原因:プロゲステロンによる便秘

女性ホルモンの1つである「プロゲステロン」は、妊娠を維持するために働くホルモンです。プロゲステロンには、体内に水分や栄養素を蓄えたり子宮付近の筋肉を緩めたりする働きがあります。

プロゲステロンによって体内に水分がたくさん取り込まれると、腸内の水分量は低下して便が固くなります。すると、排出が困難になって便秘が発生しやすくなります。

さらに、プロゲステロンは流産を防ぐために、子宮付近の筋肉を緩める働きがあります。このとき子宮のすぐそばにある腸の筋肉も緩むため、便を排出する力が弱くなって便秘が起こりやすくなります。

このように便秘を起こしやすくするプロゲステロンは、月経の約14日前から分泌量が増えて、数日でピークを迎えます。そのため、月経前には便秘が起こりやすくなります。

便秘が起こると、腸内で便が腐敗してニオイを含んだガスが発生します。ガスは腸管から血液中へと取り込まれて、汗とともに外へ排出されます。つまり、便秘が起こると体臭が発生するのです。

このように、月経前にはさまざまな理由によって体臭が発生しやすくなります。そのため、自分の月経周期を認識して体臭が発生する前に対策を行うことが大切です。

月経前の体臭対策

月経前に女性ホルモンのバランスが変化することは生理的なものであるため、防ぐことはできません。そのため、月経前の体臭を防ぐためには、男性ホルモンを活性化させないことが大切といえます。

前述のように、ジヒドロステロンはストレスによって活性化します。働く現代の女性は、ストレスを抱えやすく、ジヒドロステロンが活性しやすい環境にあるといえます。ただ、ストレスの原因を排除することは困難です。そのため、ストレスを溜めない意識を持つことが大切です。

もともと女性は、男性よりも心理的ストレスの感受性が高いことがわかっています。その上、月経前にはさらにストレスを感じやすくなります。

ただ、日本社会の構造は男性向けになっています。つまり、男性と同じように働くことが強いられる現代社会では、女性に強いストレスがかかっていることが多いのです。そのため、働く女性がストレスを軽減するためには、上記のことを理解した上で働き方を工夫することが大切です。

月経前には、ホルモンバランスの変化によって集中力が低下します。一方で、月経後から約1週間は気力にあふれて集中力が高くなりやすいです。そのため、この時期に多く仕事をしたり月経前に仕事量を減らしたりすることで、ストレスなく良いパフォーマンスを発揮できるはずです。

また、月経前にはぬるめの湯船に浸かることがおすすめです。温めのお湯による入浴は身体をリラックスさせるとともに、余分な皮脂を洗い流しやすくします。そのため、月経前の体臭対策におすすめといえます。

どんなに身なりに気を使っても、身体が悪臭を放っていては台無しです。そのため、美容ケアの一環として、これまでに述べたような体臭対策を行うことをおすすめします。