生理痛が起こるメカニズム:プロスタグランジンによる月経痛

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月経は、女性であれば誰もが経験する身体の生理現象です。女性が生涯で経験する月経の回数は約400~500回といわれており、妊娠・授乳期間を除く約40年間は月経が毎月起こります。

月経にさまざまな身体トラブルを伴うことは、よく知られています。このような、月経中に起こる身体トラブルの総称を「月経困難症」といいます。中でも、月経に伴う下腹部痛(月経痛・生理痛)は、多くの人が経験しているといわれています。

特に、現代では月経困難症が起こりやすい生活習慣が一般的になっており、日常生活に支障をきたす月経痛が毎月起こる人も少なくありません。そこで、ここでは月経痛が起こるメカニズムと、その対策について述べていきます。

月経痛が起こるメカニズム:プロスタグランジン

妊娠適齢期の健康的な女性の身体は、平均約28日周期で妊娠のための準備を行っています。

月経初日から約2週間後には排卵が起こります。また、月経が終わる頃から子宮内膜が厚くなり始め、胎児のベッド作りをしています。

このとき、妊娠が成立しないと排卵された卵子や厚くなった子宮内膜は不要となります。不要となったこれらが体外に排出される現象を「月経」といいます。

月経中には、「プロスタグランジン」というホルモンが分泌されています。プロスタグランジンにはいくつか種類がありますが、月経のために分泌されるプロスタグランジンには、子宮を収縮して子宮の内容物を体外に排出する働きがあります。この働きによって、月経では子宮内膜や卵子(経血)が体外に排出されるのです。

プロスタグランジンは出産の時にも分泌されます。出産時には、プロスタグランジンが子宮を収縮させることによって体外に赤ちゃんを押し出します。出産のときに起こる「陣痛」は、プロスタグランジンの子宮収縮作用によるものです。

月経痛も、プロスタグランジンの子宮収縮作用によって起こります。このように、月経痛と陣痛は、程度の差はありますが痛みの性質は同じなのです。

また、プロスタグランジンは痛みを感じやすくする働きもあります。そのため、プロスタグランジンは子宮を収縮して月経痛を発生させるとともに、月経痛を感じやすくして痛みを増長させるのです。

さらに、プロスタグランジンの痛みを感じやすくする働きは、下腹部だけではなく全身に作用します。そのため、月経中には頭痛や肩こり、腰痛などが起こることもあります。

プロスタグランジンによる月経痛の対策

月経中のプロスタグランジンの分泌は生理的なものなので、完全に抑えることはできません。ただ、プロスタグランジンの過剰な分泌や働きを抑えることによって、多くの月経痛は改善します。

脂質の一種である「n-3系脂肪酸」には、月経中に分泌されるプロスタグランジンの働きを抑える働きがあります。

n-3系脂肪酸にはDHAやEPAなどが知られており、魚類やえごま油、アマニ油などに含まれます。えごま油やアマニ油は高価で酸化しやすいため、日常的に摂取することが簡単ではありません。そのため、魚食によってn-3系脂肪酸を摂取することがおすすめです。

一方で、一般的な植物油に多く含まれている「リノール酸」を多量に摂取すると、月経痛を起こすプロスタグランジンの分泌が多くなりやすいです。そのため、月経痛が重い人は揚げ物などの「植物油を大量に含む食品」の摂取を控えるのが賢明です。

また、身体が冷えていると子宮口が固くなったり子宮が収縮しにくくなったりするため、経血が排出されにくくなります。すると、経血を排出するために身体はより多くのプロスタグランジンを分泌するようになります。

プロスタグランジンの分泌が過剰になると、子宮の収縮が強く起こりやすくなります。また、前述のようにプロスタグランジンには痛みを感じやすくする作用があるため、子宮の収縮による痛みを強く感じやすくなります。

このように、身体の冷えは月経痛を悪化させます。そのため、月経中は肌の露出や冷たい飲料などの身体を冷やす生活習慣を避けて、身体を温めることが大切です。

また、薬によってプロスタグランジンの働きを抑えることもできます。

通常、月経は毎月定期的に起こるため、月経痛が起こりやすい人は毎月、数日間は月経痛によって苦しむことになります。そのため、月経痛を我慢することは生活の質を著しく下げる要因になります。

プロスタグランジンの働きを抑える薬を服用すると、プロスタグランジンによる過剰な痛みや子宮収縮を抑えることができます。この薬は痛みの元に効くため、効果を実感しやすいです。

プロスタグランジンの働きを抑える鎮痛薬は、ドラッグストアなどで市販されています。ただ、薬の服用は副作用が起こるリスクがあったり、間違った使用によって効かなくなったりすることがあります。そのため、専門家に相談した上で薬を使うことが大切です。