慢性閉塞性肺疾患(COPD)とうつ病の関係性

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うつ病は単独でも命を落としかねないとても危険な病気です。一方で、ある種の慢性的な病気が原因でうつ病にかかってしまうことが知られています。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)はうつ病を引き起こす病気の一つとして知られています。

COPDはタバコなどの有害物質を長期間吸うことでおこる肺の病気です。有害物質の影響で肺や気管支が狭くなるために呼吸をしにくくなり、慢性的に咳や痰がでる病気です。

COPDにかかっている人のうち20~40%はうつ病にかかっていると報告があります。ここでは、COPDが原因で起こるうつ病と治療法について説明します。

COPDでうつ病が引き起こされるメカニズム

COPDは2つ原因によってうつ病を引き起こすと考えられています。一つ目が脳での炎症反応です。

COPDの患者さんでは有害物質が原因で肺に炎症が起こっています。肺で起こった炎症は血液や細胞を介して体全体に広がり、全身での炎症を引き起こします。このときは脳の中でも炎症がおこり、炎症物質が脳細胞を刺激することで抑うつ状態を引き起こすのではと考えられています。

二つ目が体の機能が低下することで日常生活が制限され、社会的孤立や疎外感を引き起こすためです。

肺の機能が低下することで肺活量が低下し、日常の動作でもすぐに息切れがします。また、気管支や肺の機能が低下しているため、感染症になりやすく、ちょっとした風邪でも重症化しやすくなります。

そのため疲労感や感染症への恐れから、ちょっとした運動や買い物、外食などへも抵抗を感じるようになります。その結果として社会的に孤立し、孤独感を感じるようになるのではと考えられています。

うつ病はCOPDを悪化させる

では、うつ病になるとCOPDどういった影響があるのでしょうか。

COPDは運動量が低下することで悪化することが知られています。うつ病にかかってしまうと外出や運動が極端に減ってしまうため、COPDを悪化させてしまします。

また、COPDにうつ病を併発すると死亡率が上がったり、入院期間が長引いたりするという報告もあります。一方で、うつ病の治療をしっかりと行うことで、COPDの症状が急激に悪くなるのを防ぐという報告もあります。

うつ症状を見逃さないことが大切

COPDとうつ病が併発した場合の一番の問題点は、うつ病に気づかず治療をおろそかにしてしまうことです。

その原因としては大きく3つあります。一つ目はCOPD自体の症状とうつ病の症状が区別しにくいということです。二つ目は患者やその家族がうつ病を認めたがらないことです。三つ目が患者、家族、医療関係者の間でコミュニケーションが不足していることです。

もし不眠や意欲低下が起こったときに、患者さん自身や家族が医療関係者に相談してみることが大切です。なぜなら、うつ病の治療を開始することで、COPDの悪化を防ぐことができるからです。まずは、うつ病を見つけることがとても重要なのです。

うつ病になる危険性が高い条件

COPDにかかっている人が以下の条件に当てはまる場合、うつ病になる確率が高くなります。

一つ目が、「治療に対して周囲のサポートが得られない場合」です。次に、「COPDにかかっている年数が長い場合」です。また、今までにうつ病にかかった既往歴がある場合や経済的、社会的地位が低い場合もうつ病になる可能性が高くなります。これらの条件に当てはまる場合は、うつ病にならないか注意する必要があります。

治療方法

それでは、COPDにうつ病を併発した場合について、3つのうつ病の治療方法について説明します。

一つ目が包括的な呼吸リハビリテーションです。これは医師や看護師などを中心にCOPD患者さんに対して、呼吸機能の改善と精神状態の改善を目的に行われる病院で行われる医療行為です。そのため、肺理学療法や酸素療法、薬物療法などの専門的な医療行為も含まれています。

一方で、呼吸リハビリテーションの内容を理解し、日常生活でもその手法をとりいれることで、うつ病とCOPDの改善につなげることができます。具体的には「適度に運動量を増やす」、「禁煙をする」、「食事のバランスを整える」などです。

継続的に有酸素運動を行い、塩分濃度を控えめの栄養バランスのとれた食事をすることで、病状を改善することができます。また、周囲の家族や介護者が協力しながら治療を行うことが重要です。

二つ目がうつ病の薬物療法です。ただ、COPD患者のうつ病治療はまだ確立されていません。

薬としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などが用いられることがあります。さらに、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)は抗うつ作用に加えて、睡眠改善作用や食欲増進作用もあるため、細身の体型が多いCOPD患者のうつ病治療に有用性が期待されています。

三つ目が認知行動療法です。COPD患者を対象にした試験において、認知行動療法を行うことでうつ病が改善されることがわかりました。

認知行動療法とは、出来事や言葉の受け取り方を変えることで、気持ちを楽にする方法です。心理カウンセラーや精神科医によってアドバイスによって、受け取り方を変えることができます。

ただ、専門家にたよるだけでなく、自分自身で受け取り方を変えたり、周囲がアドバイスをしたりすることが大切です。医療機関での治療だけでなく、日常の中で出来事や言葉の受け取り方を変えることで、うつ病やCOPDを改善することができるからです。

COPDになるとうつ病になる確率が高くなります。COPDの症状とうつ病の症状は似た部分があり、うつ病に気づいていない場合があります。

まずは患者自身や家族、周囲の人がうつ病の症状かなと思ったときに対策することが大切です。早期に治療を開始することで、うつ病の症状を完治できる可能性が高まります。うつ病の治療を行うことで、COPDの症状改善につなげることができます。