女性のうつ病:女性ホルモンとうつ病

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うつ病はイライラや不安、気分の落ち込みなどの精神症状だけでなく、頭痛、肩こり、腰痛などの体の症状を起こす病気です。世界的にうつ病は男性に比べて女性が多いことが知られています。日本では、女性が男性の2倍であることが分かっています。

女性のうつ病の原因

女性の方がうつ病が多い理由として、女性特有の原因があると考えられています。まず、身体的な要因です。月経、妊娠、出産などによって、ホルモンの乱れが起きます。このホルモンの乱れが原因で、うつ病を引き起こす場合があります。

また、女性が起こりやすい甲状腺の病気が原因で、うつ病になることもあります。さらに、女性は男性に比べてセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、ドメスティック・バイオレンスなどの被害者になりやすいです。これらの社会的要因もうつ病の原因になると考えられています。

ここでは、女性ホルモンの乱れとうつ病の関係について解説していきます。これを理解することで、うつ病の早期発見や治療につなげることができます。

卵胞ホルモン(エストロゲン)とうつ病

女性ホルモンの一つに卵胞ホルモン(エストロゲン)があります。エストロゲンは卵巣などで作られるホルモンで、赤ちゃんの頃から体内にあります。思春期に入り初潮を迎えると、卵巣からエストロゲンが急激に分泌され、体の中に蓄えられていきます。

20歳頃に体の中のエストロゲンの量が最大量に達し、その後は減少していきます。20~40歳頃までは軽微な減少を続け、40歳を過ぎると急激に減少していきます。平均閉経年齢の50歳頃にはピーク時である20歳のころの半分以下の量になります。60歳をすぎるとエストロゲン量の減少は止まり、ピーク時に比べて5分の1程度の量が維持されます。

また、エストロゲンの量は月経周期によって変化します。月経周期は生理、卵胞期、排卵期、黄体期サイクルを約28日で回ります。月経周期の数え方は生理の初日を月経周期の1日目として数えます。

エストロゲン量は卵胞期(約7日目)から徐々に増え、排卵直前(約13日目)にピークを迎えます。排卵後(約15日目)は急激に減少した後、黄体期では一定量に維持されます。そして、黄体期の後半から徐々にエストロゲン量は減少し、次の生理を迎えます。生理になると少ない量を維持し、卵胞期を迎えると再び量が増えていきます。

エストロゲンの作用は多く知られていますが、一般的には女性らしい体に成長させたり、骨密度の維持に作用したりします。一方で、感情にも作用することが知られていて、意欲を改善したり、気分を落ち着かせたりします。

もし、成長段階や月経周期において、エストロゲンの量が必要量より少なかったり、急激な増減によって乱れたりするとします。すると、エストロゲンの感情に対する作用が弱まり、意欲の低下や気分の落ち込みが起こります。この意欲の低下や気分の落ち込みが原因となり、うつ病を引き起こすと考えられます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)とうつ病

女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)も、うつ病に関係していると考えられています。プロゲステロンは卵巣や胎盤などで作られるホルモンで、月経や妊娠により分泌量が増えます。

一方で、初潮前や閉経後、病気による卵巣切除などの理由で月経がない女性では、男性と変わらない量が維持されています。つまり、成長段階では、体の中の量に変動がないホルモンです。

月経がある女性では月経周期によって、体の中のプロゲステロン量が変化します。卵胞期と排卵期では少ない量が維持されています。排卵を迎えると急激に黄体ホルモンの量が増加し、黄体期の中頃(約21日目)でピークを迎えます。その後、黄体期の後半(約26日目)から急激にプロゲステロンの量が減少し、生理を迎えます。

また、妊娠中には胎盤からプロゲステロンが分泌されるため、プロゲステロンの量が変化します。妊娠期間の40週のうち、胎盤が完成する中期以降(約16週)のころから、プロゲステロンの量が増えていきます。そして、32~36週でピークを迎えて、徐々に減少し、出産を迎えます。

プロゲステロンの作用としては黄体の形成、妊娠の維持、体温の上昇などが知られています。一方で、感情に対しては、気分の落ち込みや情緒不安定、イライラさせるなどの作用があります。

もし、月経周期や妊娠中で、プロゲステロンの量が必要以上に多かったり、急激な増減で乱れたりすると、イライラを引き起こしたり、気分を落ち込ませたりします。すると、この感情の変化によって、うつ病が引き起こされる可能性があります。

このように女性の成長段階や月経周期、妊娠によって女性ホルモンの量は大きく変動します。エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが乱れることで、感情の乱れが引き起こされます。すると感情の乱れが原因でうつ病を引き起こす可能性が高くなってしまうのです。

このように、女性ホルモンはうつ病と深く関わっています。エストロゲンやプロゲステロンの働きを知ることで、うつ病を未然に発見したり防いだりすることが可能になります。