高齢者のうつ症状と脳の特徴から、病気を予防して重症化を防ぐ

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うつ病は不安な気持ちや意欲の低下などの精神的な症状だけでなく、頭痛や肩こり、不眠などの身体的な症状が起きる病気です。うつ病になるきっかけはさまざまですが、特に高齢者のうつ病は複雑な背景が原因で起きます。

例えば仲の良い友人や家族がいない孤独な生活、お金の不安、介護に対する不安などの社会的背景が原因で起こることがあります。また、がんや心疾患、肺気腫、脳梗塞などの医学的な理由で起こる場合もあります。

ここでは、高齢者のうつの症状、そして高齢者の脳の特徴を理解していきます。これらを学ぶことで、うつ病の早期治療につなげたり、うつ病を防ぐ予防策を取ったりすることができるようになります。

高齢者のうつ症状

うつ病では、一般的に「悲しい」「辛い」といった気持ちや気分の落ち込みがよく見られます。しかし、高齢者の場合は、悲しい気持ちを訴えることは少なく、気分低下が目立たないのが特徴です。

つまり、うつ症状が表面に現れにくいので、見逃しがちになってしまいます。一方で、不安な症状を訴えることが多いです。また、意欲や集中力が低下することもあります。

そして、記憶力とうつ状態が関連していることが分かっています。自分から物覚えが悪くなってきた、物忘れが激しいと訴えることがあれば、うつの可能性があります。

つまり、不安な気持ちの訴えや記憶力の衰え、何かをする意欲がないなどの症状が見られる高齢者は、うつ病を疑う必要があります。

高齢者のうつは周りからみると、軽症に感じる場合があります。しかし、実は重症なケースも多いので、できるだけ早く治療を開始する必要があります。周囲の人が変化を敏感に感じ取り、すぐに対応することがとても重要です。

高齢者の脳機能の特徴に合わせた周囲の対応

高齢者のうつ病を理解するには、高齢者の脳の特徴について知る必要があります。一般的に高齢者では、認知機能が低下していると言われています。認知機能とは、記憶したり素早く物事を判断したりと、問題を処理する能力のことです。

例えば、高齢者では新しく出会った人の名前を覚えることや、前日の食事の内容を思い出すなどの作業が難しくなります。他にも、車の運転中にとっさに判断ができなかったり、新しい法律などで手続きが必要になった場合にどう対応してよいか分からなかったりといった状況も出てくることがあります。

ただし、人生で印象に残った経験や重要な理念など、積み重ねて形成された知識は保たれています。例えば、子供時代の鮮烈な体験やすごく楽しかった恋人との記憶はすぐに思い出すことができます。また、人の教育の必要性や憲法の重要性など、自分にとって重要な理念も簡単に思い出すことができます。

そこで、うつ病を発症している高齢者に対する周囲の人間の対応としては、昔の記憶や理念などの固まっている記憶に関して、高齢者からうまく質問して引き出すようにすることが大事です。質問する目的を明確にして、一つの内容について掘り下げて質問するのです。これにより、認知機能を回復させることができます。

また、最近の記憶や一時的な記憶に関して忘れている場合には、感情的にならず、論理的に伝えることが重要です。なぜ知らないのか、忘れているのかと感情的になってはいけません。本当に忘れてしまっているからです。感情的になってしまうと反発をまねき、うつ状態を引き起こすきっかけになることもあります。

もう一つの例外として、高齢者は認知機能は衰えますが、直感や感情で物事を迅速に判断する力は保たれています。つまり、論理的に考えるよりも直感や感情で考える傾向にあるのです。

例えば、買い物が好きだった孫が大人になったとき、お金を貯金できなかったとします。すると、理由を聞かないまま、「買い物が好きだった」という過去の印象から、直感的に浪費したのだと決めつけてしまうことがあるのです。本当のところ、その月に友人の結婚式のお祝いや不幸事で香典が必要だったことが理由だったとしても、決めつけるのです。

そこで、「高齢者は直感的に物事の考える傾向にある」と認識しておく必要があります。もし、勘違いが起こっている場合は、落ち着いて、論理的に理由を説明することが大切です。繰り返しますが、こちら側は感情的になってはいけません。

また、会話の仕方にも特徴があります。具体的には、高齢者であるほど話が脱線し、話が長いということです。私たち周囲は、「高齢者になると仕方がない」と割り切ることが必要です。話をするのをせかしたり、高齢者の伝えたい気持ちを無視して違う話題に変えたりしてはいけません。穏やかに話の内容を修正することが大切です。

また、こちらから伝えるときは、話の内容を一つにしぼり、ゆっくりと話すなどの工夫をします。そうすることで高齢者が理解できやすいようにします。こうした対応をすることで、高齢者がうつ病を発症しなくてすむようになります。

高齢者のうつの特徴を理解することは、うつ病の早期発見、早期治療に繋がります。さらに、早期に対応することで、重症化を防ぐことができます。また、高齢者の脳の特徴を理解して、周囲が対応することで、うつ病の発症予防や重症化を防ぐことができます。