オメガ3脂肪酸のうつ病に対する効果

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多くのうつ病患者さんは、1~2種類の抗うつ薬では薬物療法の効果が見られません。その際に、さらなる治療効果を期待して別の抗うつ薬を追加すると、お互いの作用によって副作用が強くあらわれる可能性があります。

そこで、抗うつ薬の代わりに追加することで効果が期待されるのが、安全性の高い機能性食品です。特に、オメガ3脂肪酸に抗うつ作用が確認されています。オメガ3脂肪酸はEPA・DHAと表記されることもあります。

なぜ、うつ病に対してオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)が効果を発揮するのでしょうか。ここであは、オメガ3脂肪酸による抗うつ作用について確認していきます。

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の抗うつ作用

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)はうつ病に効果が期待される機能性食品の一つです。

複数の臨床試験(人に対する効果を確認した試験)の結果、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚油サプリメントを抗うつ薬に追加して飲むことで、抗うつ薬だけの場合に比べてうつ症状が大きく改善されました。また、安全性面においても併用による大きな問題がないこともわかっています。

オメガ3脂肪酸はイワシやサバなどの青魚の油に多く含まれている不飽和脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸が注目されたのはデンマークに住むイヌイットの人たちの疫学調査がきっかけでした。イヌイットの人たちは青魚をよく食べるため、他のデンマーク人に比べてオメガ3脂肪酸をたくさん摂取することが知られています。

疫学調査の結果、イヌイットの人たちは他のデンマーク人に比べて心臓病になる割合がとても低いことがわかりました。

後にオメガ3脂肪酸が血中のコレステロールのバランスを改善して血液をサラサラにすることで心臓病を予防するが明らかになりました。一方で、オメガ3脂肪酸は脳の機能を高めることも知られており、認知症の症状を改善したり、気分を向上させたりすることも分かっています

エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)

よく知られているオメガ3脂肪酸にエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)があります。EPAは主に血管に作用し、DHAは脳に対して作用して健康を維持すると言われています。DHAは人間の脳や心臓、網膜に存在することが分かっています。

ただし、DHA・EPAは体のなかでほとんど合成されないため、食事やサプリメントなどで外部から摂取する必要があります。

抗うつ効果が期待できるオメガ3脂肪酸の摂取方法

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)が抗うつ効果を発揮するには、適切な量とある程度の期間摂取することが大切です。

臨床試験において、抗うつ薬を服用中のうつ病患者さんにEPAを1日2g、14日間摂取してもらったところ、うつ病の症状を改善する効果がありました。

また、2015年の日本人の食事摂取基準では1日のオメガ3脂肪酸の摂取目標値を18歳以上男性で2g、18歳以上女性で1.6gと設定しています。これらのことから1日2gを目標に摂取すれば、安全性も担保されながら、抗うつ効果が期待できるのではないかと考えられます。

また、最低でも14日間は続けることが大切です。なぜなら、臨床試験において抗うつ効果が認められるまでに14日間が必要だったからです。

EPA・DHAの安全性や医薬品との相互作用について

もともと食品由来の成分なので、EPA・DHAの安全性は極めて高いといえます。ただ、血液をサラサラにする効果があるので、理論的には出血のリスクがあります。そのため、手術における出血リスクを低くするために、手術前には飲むのを控える必要があります。

また、血液をサラサラにする医薬品やオメガ3脂肪酸を主薬とする医薬品と一緒に飲むと出血のリスクが高くなるため、注意が必要です。

血液をサラサラにする医薬品としてはワルファリンカリウム(商品名:ワーファリン)やアスピリン腸溶錠(商品名:バイアスピリン)などがあります。また、オメガ3脂肪酸を主薬とする医薬品にはイコサペント酸エチル(商品名:エパデール)やオメガ3脂肪酸エチル(商品名:ロトリガ)があります。

これらのリスクを避けるためにも、かかりつけの医師や薬剤師にサプリメントを飲んでいることを伝えることが大切です。

オメガ3脂肪酸単独での抗うつ効果については、まだ不明な点が多いのが現状です。しかし、複数の質の高い臨床試験によって、オメガ3脂肪酸と抗うつ薬を併用することで、うつ病の症状を改善することが明らかになっています。

オメガ3脂肪酸の併用は抗うつ薬だけではうつ症状の改善効果が見られない患者さんに対して、安全で有効な治療方法の一つになるのではないでしょうか。