ドグマチール(スルピリド)の効果と副作用:うつ病の治療薬

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うつ病は命に関わる病気です。なぜなら、うつ病が悪化すると自殺の引き金になることもあるからです。うつ病になると、脳の中にある神経伝達物質の機能が低下します。神経伝達物質とは、脳の中で情報を伝えるときに使われる物質のことです。

うつ病の治療薬は、神経伝達物質の機能を高めることで症状を改善します。ドグマチール(一般名:スルピリド)は神経伝達物質の一つであるドパミンの機能を調整することで、うつ病の症状を改善します。特に、意欲や楽しむ力を改善したり、胃痛や消化不良などを良くしたりする効果があります。

ドグマチール(スルピリド)の作用機序

ドグマチールは初め胃薬として開発されました。ドグマチールは胃の中でドパミンの作用を邪魔して、胃の粘膜を修復したり、胃の不快感を良くしたりします。胃薬としてそれほど効果がある薬ではないのですが、うつなどの心因性の胃腸障害の際に使われています。その後、統合失調症やうつ病にも効果があることがわかってきました。

ドグマチールがなぜうつ病に対して効果があるか詳しいことは分かっていません。うつ病ではドパミンの量が減ることが知られています。つまり、ドパミンの機能が弱くなっていると言えます。

一方で、ドグマチールはドパミンの作用を邪魔することで効果を発揮します。この点が矛盾しているのです。ドグマチールがどうしてうつ病をよくするのかについて、さまざまな仮説が唱えられていますが、はっきりしないのが現状です。

ただ、適切な量のドグマチールを飲むことで、うつ病の症状を改善することは間違いありません。そのため、胃薬や統合失調症の薬としてよりも、うつ病の薬として使われることが最も多い薬です。

ほとんどの場合、飲み始めると14日程度で効果が表れると言われています。臨床の現場では、翌日にも効果が表れる場合もあります。

ドグマチール(スルピリド)の副作用

ドグマチールの副作用の特徴は他の抗うつ薬で起きる副作用が少ないことです。例えば、他の抗うつ薬では吐き気、眠気、離脱症状、口渇、便秘などの副作用が起きやすいですが、ドグマチールは起きにくいです。ドグマチールは胃薬としても使用されるので、特に吐き気は起きにくいです。

また、他の抗うつ薬は薬をやめるときに中止後症状(症候群)と呼ばれる副作用に注意する必要があります。めまい、頭痛、不安、嘔吐、吐気、不眠などが起きる注意すべき副作用です。

それに対して、ドグマチールは中止後症状がほとんど起きません。また、眠気の副作用も少ない薬です。一方で食欲不振などの症状を改善するため、体重増加が起きることがあります。

高プロラクチン血症と薬剤性パーキンソニズム

前述のように、ドグマチールは他の抗うつ薬で起きる副作用が少ない薬です。一方で、ドグマチールに特徴的な副作用が起きる場合があるので注意が必要です。

高プロラクチン血症はドグマチールで起きる重大な副作用の一つです。プロラクチンとは、乳汁を分泌するホルモンのことです。

ドグマチールはプロラクチンを分泌する脳の部位を刺激して、血液中のプロラクチンの量を増やします。そうして、高プロラクチン血症になってしまう可能性があります。

プロラクチンは乳汁に関与するため、女性に関係する副作用だと思うかもしれません。しかし、男性であっても乳汁が出てくることがあります。また、ただ乳汁が出ることだけではなく、胸が膨れたり、胸や乳頭が痛くなったりすることもあります。

さらに、ホルモンバランスが崩れることで、無月経や勃起不全、性欲減退などもおこる可能性があります。ほとんどの場合、薬を飲み始めてから、1ヶ月以内で起きます。そのため、初めの1ヶ月は乳汁分泌や胸の違和感、生殖器異常に注意が必要です。

薬剤性パーキンソニズムもドグマチールで起きる可能性のある重大な副作用です。パーキンソン病は動きが鈍くなったり、手が震えたり、転びやすくなったりする脳の病気です。また、言葉を発するのが困難になるなどの言語障害が起きることもあります。

薬剤性パーキンゾニズムとは、ドグマチールが原因でパーキンソン病のようになってしまう副作用のことです。ほとんどの場合、ドグマチールを飲み始めて、20 日以内で起こります。そのため、薬を開始してから、数日から数週間のうちは手の震え、動きの鈍さ、言葉が出にくいなどの症状に注意が必要です。

もし、高プロラクチン血症や薬剤性パーキンソニズムになった場合は薬を中止する必要があります。ただし、自己判断でやめるのではなく、医師や薬剤師に相談の上で中止することが重要です。