バレリアン(セイヨウカノコソウ)の睡眠障害改善と抗不安作用

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うつ病になると不安感に襲われたり、不眠になったりすることがあります。不安感や不眠はうつ病を悪化させる原因になる症状です。快適な日常生活を過ごし、うつ病を悪化させないためにも、睡眠や不安感の症状を改善することが重要です。

バレリアン(セイヨウカノコソウ)は欧州や北アジアに生息している薬用植物です。不眠症や不安症、神経症などに効果があると言われています。ドイツでは不眠や不安に対して効果のあるハーブとして使用が認められています。

米国や日本では、睡眠や不安感に効果があるサプリメントとして摂取されています。また、日本ではハーブティーとして飲まれたり、バレリアンの抽出物をアロマオイルとして使用したりしています。

バレリアン(セイヨウカノコソウ)の作用機序

バレリアンに含まれるテルペノイド類やアルカロイド類と呼ばれる成分群に関して、睡眠改善作用や抗不安作用との関係が示唆されています。睡眠や不安感を改善するためには脳内で成分が働く必要があります。眠気や不安は脳で感じるからです。

そして、テルペノイド類やアルカロイド類は脳の中に移行することが分かっています。

テルペノイド類やアルカロイド類が脳の中に移行すると、γ―アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる物質の働きを介して効果を発揮すると考えられています。GABAは脳内で働く物質で、睡眠を誘導したり、興奮を抑えたりする作用があります。

しかし、バレリアンがなぜ睡眠や不安感を改善するかについて、詳しく分かっていません。そのため、作用機序を明らかにするための基礎的研究が進めされています。

バレリアン(セイヨウカノコソウ)の不眠や不安に対する効果

まず、不眠症に対する効果についてです。不眠症や患者さんに対して、バレリアンを用いた臨床試験(人に対する試験)が数回行われています。

その中には、日本で行われた臨床試験もあります。例えば、34人の睡眠障害患者に対してバレリアンの効果を確かめる試験が行われました。この試験はバレリアンに偽薬を使った信頼性の高い試験です。

その結果、偽薬を飲んだ人たちに比べて、バレリアン飲んだ人たちのほうが、総合的な睡眠の質の向上がみられました。ただし、眠気や睡眠持続時間、気がかり、寝付きなどに差は見られませんでした。

他の海外試験でも、不眠症に対する改善効果が見られたり、見られなかったりする結果が混在しています。現時点では、バレリアンは全ての不眠症に効果があるわけではありません。しかしながら、一部の不眠症に対しては効果があるハーブと言えます。

次に、不安症や神経症に対する効果についてです。いずれも海外で少数の臨床試験が行われています。その結果、不安症や神経症の患者さんに対して、バレリアンを服用することによる症状改善が認められています。

ただし、不安症や神経症を改善する効果が認められなかった臨床試験も報告されています。現時点では、バレリアンの不安症や神経症に対する効果は実証されてないと言えます。

バレリアン(セイヨウカノコソウ)の摂取方法

不眠症で摂取したい場合、「寝たい日に飲む方法」と「長期間飲んで睡眠を改善する方法」の二通りがあります。どちらの方法についても、バレリアンを飲むことで睡眠の質を改善するとの報告があります。

飲む回数とタイミングは1日1回、寝る30分~1時間前に飲むことが勧められています。摂取量はバレリアン抽出物400~900mgを目安に飲みます。この量はバレリアンの乾燥粉末で言うところの1.5~3.0gに相当します。長期間飲む場合は、臨床試験の結果から1ヶ月程度摂取する必要があります。

不安感、ストレス、神経症などを期待して飲む場合は、日中に分けて飲んでも構いません。ただし、1日の服用量は900mgを超えないようにしましょう。

サプリメントを選ぶときの注意点

サプリメントを活用する際は、バレリアン抽出物の含有量に注目して下さい。バレリアン抽出物の含有量が50~100mgと少ないサプリメントもあるので注意が必要です。

中には、バレリアンに含まれるバレレン酸という成分の量を基に調整しているサプリメントもあります。臨床試験では、バレレン酸の1日量が約20mgになるように調整されています。

ただ、バレリアン抽出物何mgあたりに対してバレレン酸が何mgという厳密な指標はありません。そのため、1日量が20mgから大きくずれる量(10分の1や10倍の量)にはならないようなサプリメントを選ぶと良いでしょう。

バレリアンの副作用

1日900mgを超えないように、1ヶ月程度の期間の服用であれば問題となる副作用はほとんど起きません。まれに、頭痛や目眩や眠気の持ち越しなどの症状を引き起こすことがあります。病院で処方される睡眠薬や抗不安薬と比較して、集中力の低下などの副作用は少ないです。

ただし、飲んでから2~3時間は眠気や集中力の低下が認められる可能性があります。そのため、車の運転や機械の作業などには注意が必要です。

妊娠中や授乳中の使用について、臨床試験は行われていません。赤ちゃんへの影響が分かっていないので、念のためにバレリアンを飲むのは避けたほうが良いでしょう。

また、バレリアンを含む製品を摂取した際に、肝臓に対して毒性があるとの報告があります。直接の原因がバレリアンかどうかは不明ですが、肝臓の機能が低下している人は飲むのを避けたほうが無難です。

併用に注意する医薬品

バレリアンと同時に飲むことで、効果や副作用に影響を及ぼした薬剤は報告されていません。そこで、一般に注意が必要とされる薬剤を記載します。

睡眠薬や鎮静薬、抗不安薬(特にロラゼパムは注意)、抗うつ薬のセロトニン選択的再取り込み阻害薬(SSRI)、アルコール、下痢止めの塩酸ロペラミド、心臓に作用するβ遮断薬を飲んでいる場合は、バレリアンを飲むのを避けたほうが良いでしょう。

バレリアンの睡眠誘導作用は限定的ではありますが、効果があるといえます。また、不安症や神経症に対する効果は、まだ研究段階です。睡眠薬を飲んでも効果がないなど、医薬品による治療をやめてサプリメントを試してみたい人には、価値のあるサプリメントと言えます。