ひざに溜まった水を抜くことのメリット・デメリット

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ひざが腫れたとき、水を抜くことがあります。このことに関して患者さんから「水を抜くと、くせになる」とよくいわれます。関節から水を抜くことには一長一短があり、状況に応じて変わってきます。今回は、このことに関して解説します。

水が溜まるとは

関節に水が溜まるとは、関節の中にある「関節液」の量が増えていることを指します。正常な人では、関節液は数ccのため、注射器により水が抜けることはありません。しかし、ひざを痛めて腫れている人は、数十cc溜まる場合もあります。

関節液はどのような場合で増えるのでしょうか。まずは、関節液の役割を説明します。

関節液の役割は大きくわけて2つです。1つ目は、良く知られている潤滑剤としての役割です。関節液の中の「ヒアルロン酸」は、その役割を果たしている主な成分です。つまり、関節の動きを滑らかにする役割があります。

高齢者の方がひざの痛みで病院に行き、診察を受けます。その中の多く人は「潤滑剤が足りないから、ひざに痛みが出ている」といわれます。その場合、ヒアルロン酸の注射を打ちます。

そして2つ目は、関節の中の栄養作用です。関節液は、そもそも血液から作られます。また、関節内にある軟骨や半月板などの組織には、血管がありません。つまり、血液による栄養が供給されていないということです。関節液には、その栄養を補う役割があります。

以上のことから、「関節に水がたまる」ということは、関節の潤滑が低下している、もしくは栄養が足りていない状況だと考えることができます。

関節の潤滑、栄養が足りなくなる原因

関節は動くことにより、潤滑を良くします。ひざであれば「体重をかける」「曲げ伸ばしをする」などです。つまり、ひざを使わない状態でいると、潤滑作用が低下してしまいます。具体的には「寝たきり」「運動不足」などです。ただし、寝たきりや運動不足の状態だと、関節を潤滑させる必要がないため、問題は起こりません。

しかし、寝たきりや運動不足の状態の後に、「急に歩く」「体重をかける」などを行うと、潤滑が必要になるため、関節液を増やします。このときに、ひざが腫れるようになります。また、栄養が足りない状態とは、言い換えれば「通常以上に栄養が必要な状態」であると考えることができます。

組織を傷めた場合、または傷ついた組織が治るとき、通常以上の栄養が必要です。つまり「軟骨や半月板が損傷したとき、組織が治るために関節液が増える必要がある」ということになります。

以上のように、関節液は必要性があって増えることがほとんどです。通常では、その必要性がなくなれば、関節液は吸収されます。問題なのは、必要性がないのに関節液が溜まっていることです。

関節液が溜まることのデメリット

関節液が溜まる一番のデメリットは、筋力が低下することです。水が溜まるのは、どのような理由であっても、関節に負担をかけたくない状況です。そして、体は関節に負担をかけないように、筋力を落とすように働きかけます。

このような状態のとき、筋力は落ちていますが、普段より活動量を落とせば問題ありません。しかし、筋力が落ちた状態で、普段通りの生活を行うと、負担がかかりさらに水が溜まります。

関節液が溜まらないようにするために

関節液が溜まる原因は2つです。組織が傷ついた場合、関節をあまりにも動かさなかった場合です。そして、損傷部位が治ると自然に吸収されます。また、適度な運動は関節液の吸収を促します。

以上のことから、関節液が溜まらないようにするためには

・組織の損傷がある場合は、治るまでは強い負担をかけてはいけない

・強い負担をかける運動とは、痛みを誘発する程の運動を指す

・痛みを誘発するような運動は行わない

・適度な運動(痛みがない範囲での運動)は、潤滑、循環をうながすために必要である

という、上記の4つに気をつけることが大切になります。