呼吸運動は腹式呼吸、胸式呼吸のどちらもできることが大事

e6404e0d4ecaed454c2f1da4c9c5dac3_s

呼吸に関して、最近は一般人の関心も高くなっています。専門家としても呼吸の重要性は日々感じています。呼吸は落ち着いているときは、ゆっくり深くなります。一方、ストレスを感じているときは、浅く早くなります。このように、呼吸は精神状態を表します。

そして、呼吸運動は呼吸に関わる筋肉を介して、背骨、肋骨、内臓の動きにも関係してきます。つまり、精神状態と背骨などの体をつないでいるものの一つになります。また、人は呼吸により酸素を取り入れ、その酸素を使って体を動かします。当たり前ですが、呼吸により生命活動を維持しているということです。

以上のように、呼吸は人間にとって必須の機能となります。今回は、呼吸における胸式呼吸と腹式呼吸に関して述べていきます。

胸式呼吸のメリット、デメリット

胸式呼吸は、文字通り主に胸の動きを使って呼吸を行う方法をいいます。この呼吸は背骨、肋骨、胸骨で構成される胸郭の前後、左右、上方の動きにより呼吸が行われます。

呼吸の基本として、胸郭のスペースが広くなることにより、空気が肺の中に入ります。 そのため、胸式呼吸には胸郭を構成する関節や、胸郭を動かす筋肉が大きく関わってきます。これは胸式呼吸のメリット・デメリットに関係してきます。

胸式呼吸は、胸郭を構成する関節の動きが伴います。つまり、胸式呼吸を行うと、自然に関節をストレッチすることになります。それにより、胸郭を構成する背骨、肋骨、胸骨の動きが良くなります。胸式呼吸のメリットは、胸郭の柔らかさを促すということです。

逆に、胸式呼吸は胸郭を動かす筋肉を使うということは、過剰に行いすぎるとその筋肉が緊張してしまいます。呼吸に関わる筋肉は、首、肩、胸郭に関係します。つまり、それらの筋肉が緊張すると、首、肩などの痛み、動きの制限につながります。

また、これらの筋肉は自律神経系のうち交感神経系を活性化させます。交感神経系とは、体全体を緊張させる神経系です。つまり、過剰な胸式呼吸は全身の緊張を作ります。胸式呼吸のデメリットは、全身の緊張を高めるということです。

腹式呼吸のメリット、デメリット

胸式呼吸と違い、腹式呼吸はお腹の動きを使った呼吸です。基本的には胸郭の動きによるものですが、胸式呼吸と違い、胸郭の下方への動きが主となります。この下方への拡がりにより、内臓が圧迫され、内臓が前方に押されるためお腹が大きく膨らみます。これが腹式呼吸といわれる理由です。

腹式呼吸はデメリットがほとんどありません。一方、メリットは多く、体によって良い効果をもたらします。

腹式呼吸は、横隔膜という筋肉の動きにより行われます。この横隔膜は内臓の上方に存在し、上から覆いかぶさるように位置しています。そのため、この筋肉が働くと内臓を圧迫します。これにより、内臓の運動が促され、内臓に対してのマッサージ効果が生まれます。

内臓は体をリラックスさせる副交感神経系と深く関係しています。内臓がマッサージされることにより副交感神経系が活性化され、リラックスします。また、便秘の解消にもなります。

さらに、横隔膜、腹横筋、骨盤底筋という体幹のインナーマッスルも働きが促され、体幹の安定性が上がります。このように、腹式呼吸は体にとってさまざまな効果があります。

以上をまとめます。

・胸式呼吸は過度に行うと体の緊張を強めるが、適度に行うことは胸郭の柔軟性を促す効果がある

・腹式呼吸は体をリラックスさせ、便秘解消や体幹の安定性向上などの効果がある

このように、どちらの呼吸が悪いということはありません。普段から、過度に胸式呼吸を行なっているのは問題ですが、適度なら問題ありません。

普段から呼吸を意識しましょう。胸式呼吸が過度になっているとき、意識して腹式呼吸を取り入れると体にとって良い作用をもたらします。