「口呼吸」はさまざまな病気の原因になる

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最近では呼吸に関する関心が、一般人にも広がっています。「痩せるため」「体幹を鍛えるため」とさまざまな呼吸の効果がメディアで紹介されています。医療者の視点でみても、呼吸が重要であるということは間違いありません。

以上のような効果以前に、呼吸は生命を維持するために必須になります。しかし、そのような生命維持を行う呼吸において、人は進化により重要な欠陥が生じました。その欠陥により、さまざまな病気が引き起こされている可能性があります。

今回は呼吸の中でも「口呼吸」について、その欠点と病気との関係性を説明します。

哺乳動物の呼吸器官は「鼻」である

本来の哺乳動物の呼吸器官は鼻です。しかし、人は「話す」機能を獲得したことにより、口でも呼吸ができるようになりました。話すという行為により、無意識のうちに口呼吸が習慣化してしまいます。

本来、なぜ鼻で呼吸をする必要があるのかというと、鼻は外呼吸の入り口で、口は食べ物の入り口だからです。哺乳類はそのような構造になっているのです。

鼻は構造上、入ってきた空気に含まれる細菌やウイルスなどの有害物質を除去します。また、適度に加湿されることにより、酸素が吸収されやすい形で肺に送り込まれるようになっています。

これらの役割を担うのが鼻毛や鼻腔の粘膜になります。これらの機能により、外から入る有害物質から身を守っているのです。

口の中には扁桃(扁桃腺:へんとうせん)と呼ばれる、免疫をつかさどる組織があります。扁桃は免疫に深く関係しており、扁桃部分に細菌や有害物質が入ると、炎症を起こすことにより体を守ります。また、扁桃はリンパを介して、全身とつながっています。

有害物質が過剰に入ると、扁桃の働きが通常以上に必要になります。ただ、扁桃によって除去できなかった細菌などの有害物質が、リンパを介して全身に広がることがあります。これにより、多くの病気を引き起こしていると考えられているのです。

通常、外気は鼻を通ることにより、除菌、加湿された状態で扁桃に達します。つまり、扁桃には有害物質が届かないため、働く必要がありません。

一方、口で呼吸した場合、「有害物質を取り除くシステム」を通過することなく扁桃に達するようになります。つまり、口から入った空気や有害物質は直接扁桃に入ります。

以上のように、口呼吸を行うと、扁桃がいつも以上に働く必要が出てきます。そして、その働きが追い付かなくなると、細菌などがリンパを介して全身に広がってしまうということです。

口呼吸が原因となる病気

扁桃から侵入した有害物質はリンパを介して体中に広がるため、全身の病気につながります。以下に影響を受ける器官と病気の例を挙げます。

目:網膜症、シェーグレン症候群
鼻:鼻炎、扁桃炎
口腔:口腔乾燥症
肺:喘息、肺気腫、気管支炎、肺炎
大腸:潰瘍性大腸炎
消化管:胃潰瘍、十二指腸潰瘍
泌尿生殖器:生理痛、子宮内膜症

これは、口呼吸と関係ある疾患のなかでもわずかです。このように、口呼吸はさまざまな疾患と関係しています。

口呼吸する人の特徴

以下に口呼吸を行なっている人の特徴を示します。

・出歯
・寝ても疲れがとれない
・扁桃炎
・歯並びが悪い、口臭が強い、たらこ唇
・便秘、下痢
・アトピー、蕁麻疹
・生理痛
・起床時に咽喉が痛い、口が渇いている
・花粉症
・いびき、歯ぎしり
・姿勢が悪い
・肩凝り、腰痛、頭痛、片頭痛
・子宮内膜症
・低体温

一つでも当てはまる症状があるなら、口呼吸をしている可能性が高いです。口呼吸はさまざまな弊害をもたらします。寝ている時間は、呼吸を意識することは難しいです。しかし、起きている時間は意識できます。

まずは、起きている時間に、意識して鼻で呼吸することを行なって下さい。それだけでも、上記の症状が改善するはずです。