交通事故によるむち打ちの時期別の症状

e400d11615ba1afdd349ac93c6e813d4_s

むち打ちは「交通事故を代表とする外傷」によって引き起こされる首回りの症状のことを指します。その症状は多彩で、首の痛みや手のしびれなどの神経筋骨格系の症状をはじめ、めまいや頭痛、耳鳴りなどの自律神経系の症状などを出現します。

多くのむち打ち損傷の予後は良好で、ある一定期間を過ぎるとほとんどの症状が改善します。しかし、中には骨折や脊髄損傷を起こしており、緊急に専門的な処置が必要な場合や、症状が数年続くなど慢性化してしまう場合もあります。

また、症状の程度は外傷の強さと関係しておらず、衝撃が強くても症状がない人がいれば、ちょっとした衝撃で強い症状が出る人もいます。どちらにしても、その症状は多くの人を悩ませています。今回は、そのむち打ちの時期別の症状に関して解説します。

急性期

むち打ちの症状は多彩です。頚部痛や手のしびれ、めまいなど、多くの症状が出現します。ただ、その出現の仕方の違いの原因はわかっていません。ぶつけられた方向、その時の姿勢、心理状態などさまざまな因子が影響していることが予測されます。

その中でも事故直後である急性期は、症状が多彩なだけでなく、その変化の大きさに特徴があります。また、事故直後ではなく数日たって症状が出てくることもあり、直接的な組織の損傷によるものとは考えにくい症状も出現します。

このときの症状は、外傷によって痛みを感じる受容器である「侵害受容器」の興奮が関与しているものと考えられます。

そして、急性期の症状で最も多いのは頚部痛(けいぶつう)です。安静時でも痛みがあることがあり、痛みによって動きが制限されるだけでなく、睡眠も障害されることが多いです。

このような場合は、安静、アイシングを徹底し、痛みの管理に徹することが大切です。また、痛みで眠れない場合は、そのときの不眠が痛みを悪化させます。そのため、薬などを処方してもらい、一時的に痛みを軽減させることが有効です。

しかし、この時期は長くても1週間と考えてください。むち打ちの問題の一つに、痛みによる活動性の低下が挙げられます。活動性の低下はむち打ちに限らず、痛みなどの症状を慢性化させる大きな要因です。

痛みがあるのに体を無理に動かす必要はありませんが、長くても1週間を過ぎた頃には、日常生活で可能なことは極力行うようにしてください。散歩などの有酸素運動は、症状の治癒を促進する効果があります。

慢性期

慢性疼痛とは、通常6か月以上痛みが続くもので、そのメカニズムが急性期のものとは異なると考えられています。

そのメカニズムは、痛みが続くことによって神経に何らかの変化が生じ、それが痛み記憶として残っているというものが考えられています。また、慢性期では自律神経系の影響が強く、ちょっとした刺激や心理的な変化などによって影響を受けることもその特徴です。

症状は急性期に起こったものが継続している場合が多く、頚部痛や頭痛、めまい、はきけ、腰痛などの症状があります。

むち打ちに限らず、慢性的な症状には抗炎症剤などの薬は効かないというのが常識です。慢性症状に効果的なものには、運動療法やその人の物事に対する考え方を変える「認知行動療法」などがあります。

そのため、この時期も自分でできることはネガティブ思考を行わない、有酸素運動などの運動を行うということになります。

しかし、先ほども述べたように、むち打ちの症状が慢性化することは少ないです。ある調査によると、1か月以内に治療が終了する例が80%以上で、6か月以上の痛みが続く人は約3%とされています。

そのため急性期はアイシングや服薬などの管理は必要ですが、強い症状が落ち着いた後は「時期がくれば治る」と思うようにしましょう。普段通りの生活を行っていくことが、多くの人にとって症状改善のポイントとなります。