姿勢を意識することの弊害

6e4a0f0943ff8ebbaf6e5878f81c4fe4_s

現在は、健康に対する意識の高い人が多いです。その中で特に「姿勢を意識する」ということを行っている人は、多いように感じます。

確かに姿勢を意識することは大切です。しかし、姿勢を意識することが、体にどのような影響を与えるのかを考えている人は少ないです。姿勢を意識することには、メリット・デメリットの両面があります。今回は姿勢を意識することのデメリットについて述べます。

良い姿勢の定義

良い姿勢とはどのような姿勢でしょうか。それは、「体の機能を重視した姿勢」と「見た目を重視した姿勢」により変わってきます。

まず、専門的に良い姿勢とは、横から見たときに、「耳たぶ」「肩」「大転子(ももの外側の一番出っ張ているところ)」「くるぶし」が一直線になっている姿勢とされています。確かにこの姿勢は「機能」「見た目」ともに、良い姿勢に当てはまることが多いです。

一般人が考える良い姿勢は「とにかく背筋が伸びている」ではないでしょうか。多くの人が「姿勢が良い人=背筋が伸びている人」と考えていると思います。

背筋を伸ばすとき、体にはどのようなことが起こっているか

一般的に背筋を伸ばす動作は、胸椎(肩甲骨の間の高さにある背骨)を伸ばす動きになります。「胸を張る」「肩甲骨を寄せる」などが、その動きの代表的な表現です。

この背筋の伸ばす動きをすると、一般的にいわれる良い姿勢になります。しかし、この姿勢は専門的にみると、大きな問題があるのです。

背骨はS字状に湾曲している

正常な背骨はS字状に湾曲しています。首と腰の2ヶ所で前弯(ぜんわん)、胸椎で後弯(こうわん)しています。この3つの湾曲で、S字湾曲は作られます。実は、このS字湾曲は、体にとても重要な役割をしています。S字湾曲はバネのように働き、体にかかる衝撃を吸収します。そして、体は衝撃を吸収できる分の力しか発揮できないようになっています。

つまり、背骨のS字湾曲が少なくなると、衝撃を吸収する力が弱くなり、その分だけ「筋力低下」が起こってしまうということです。そして、この「筋力低下」は全身に起こります。

背筋を伸ばすと「筋力低下」が起こる

背筋を伸ばす動きは、胸椎を伸ばす動きになります。これは、胸椎の後弯を少なくする動きということです。

先程述べたように、背骨の湾曲が減ると「筋力低下」が起こります。つまり、背筋を伸ばそうと意識すると、「筋力低下」が起こってしまうということです。「筋力低下」が生じると、さまざまな問題が起こることは想像に難しくないと思います。

以上のように、背筋を伸ばすことは「見た目」は良い姿勢を作ります。しかし、体の機能を考えると、「筋力低下」という大きな問題を引き起こします。姿勢や歩行を意識することは大切ですが、それは体の仕組みを知っている専門家でも難しいことです。そのため、むやみに姿勢を意識するよりは、自然な形でいることが一番ではないかと思います。

その上で、良い姿勢でいたいのであれば「意識せずに、良い姿勢になるような体作り」を行うことが大切です。これが「見た目」「機能」ともに、「良い姿勢」でいることの前提条件になるといえます。