睡眠時間を減らして、不眠を解消する「時間制限療法」

cdc4502d2f8c80650572e6c1509e88f8_s

不眠といえば、睡眠時間が短いという印象をもっているのではないでしょうか。そして、長い時間眠れるということは、不眠ではないと考えている人が多いです。

しかし、不眠は時間だけでなく、その質も問題になります。特に精神生理性不眠の人などは、睡眠の質よりも時間に気をとられがちで、少しでも睡眠時間をかせごうとして、眠れないのに寝床に入ります。

このような状態の人に対して行われるのが、「時間制限療法」です。今回はこの時間制限療法について解説します。

時間制限療法とは

時間制限療法とは、寝床の中にいる時間を制限し、睡眠不足にすることで深く眠ろうという不眠への対処法です。これは、1980年代にスピルマンらにより開発された睡眠療法です。

今までの研究では、睡眠時間を徐々に減らしていくと、浅い睡眠は減少しますが、深い睡眠である徐波睡眠自体は変わらないことがわかっています。また、睡眠不足のあとに眠ると、失われた睡眠全体は回復しませんが、深い睡眠はほとんどが回復することがわかっています。

さらに、睡眠は時間だけでなく質が重要です。特に最初の3時間に「深くて良好な睡眠」が現れます。必要以上に永い眠りでは日中の覚醒度は上がらず、一日中頭がすっきりしない状態になります。

このような理由から開発されたものが時間制限療法になります。

時間制限療法の実際

時間制限療法の一番の目的は、寝床にいる時間(床上時間)と本当に必要な睡眠時間の差を縮め、睡眠の効率を上げることにあります。

対象としては、寝つきの悪い人が一番効果的です。夜中に目が覚めやすい人や熟睡感が少ない人にも効果的であることが明らかになっています。

多くは治療開始から8週間程度で効果が出現し、3年経過してもその効果が持続していることが報告されています。

具体的な方法は6ステップによって行われます。

① 必要な睡眠時間は、人それぞれであることを理解する

睡眠は年齢、性別、種族などによって異なります。まずは、必要な睡眠は個人個人違うということを理解し、睡眠時間が短いことに対する焦りを無くすようにします。

② 床上時間を「平均睡眠時間+15分」に設定する

このため、まずはあなたの睡眠時間を知る必要があります。1~2週間、寝床に入った時刻、実際に寝付いた時刻、目が覚めた時刻、寝床を離れた時刻を記録し、今の平均睡眠時間を出します。

③ 起床時間は毎日一定にする

体内時計は朝の光によって調整されます。さらに、毎朝、規則正しく起きることによって調整されるため、遅く寝た翌日であっても、起床時間は一定にします。

④ 朝起きたらすぐに、睡眠時間を記録する

人間の記憶は驚くほど曖昧でいい加減です。記憶が新しいうちに記録する癖をつけます。

⑤ 日中に昼寝や居眠りをしない

睡眠の質を上げるためには、日中に深く眠ることは厳禁です。夜ぐっすり眠れるように、日中は極力寝ないようにします。

⑥ 目標床上時間の90%以上眠れたら、目標床上時間を15~20分増やす

寝床についた後、そこから出るまでの時間を「床上時間」といいます。床上時間の90%以上を眠ることができたら、床上時間を次は15~20分増やすようにします。

以上のように、睡眠に大事なものは、時間より質です。もちろん、睡眠時間の確保も大切ですが、これには個性があり、人それぞれ異なります。大切なことは、日中に眠気がこないような睡眠時間と質を確保することです。

もし、寝つきが悪い方は一度、睡眠制限療法を試してみてはいかがでしょうか。