睡眠障害は、日本に年間3兆円を超える経済損失を与える

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睡眠不足が個人の健康に与える影響はあなたが知っている通りです。しかし、睡眠不足は個人の問題だけではなく、社会全体に影響を与えるのです。

今回は、睡眠が社会に与える影響について解説します。

睡眠障害による3兆5000億円の経済損失

ある製薬会社の会社員を対象に、日本大学医学部が調査を行いました。その結果、この会社員の3人に1人が「睡眠に問題を抱えている」ということがわかりました。

そして、睡眠に問題のある人たちは遅刻や欠勤、早退の頻度が高いだけでなく、勤務中の眠気で作業効率が4割も低下していることがわかりました。さらに、交通事故を起こしやすいリスクは、睡眠に問題ない人と比べて1.4倍となっていました。

以上の結果をもとに、国内の約5000万人の労働者にあてはめたところ、作業効率の低下による損失が約3兆円、欠勤などの損失が約1500億円、交通事故の損失が2000億円となり、合計3兆5000億円の経済損失になったとのことです。

実はこれだけではなく、医療費においてもその影響が示唆されています。睡眠障害は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因になります。そのことによって、かかる医療費はとても大きなものになります。ある試算によると、睡眠障害の予防によって医療費は1兆5000億円の節約ができるといわれています。

このように、睡眠障害は個人の問題だけではなく、日本経済全体に影響を与えます。

発展のために24時間社会は続く

睡眠障害が社会に与える影響は明らかになっています。 それにも関わらず、日本における睡眠環境は年々厳しくなっているのが現実です。

1960年には8時間を超えていた平均睡眠時間は、2005年では約7時間と1時間も短くなっています。

さらに、夜10時までに眠っている人は、1960年には60%以上だったのに対し、2005年では24%まで減っています。これは、単純に睡眠時間の短縮だけではなく、睡眠の質も低下していることが予測されます。

以上のことは、不眠不休を美徳として、先進国といわれる地位を築いてきた結果でもあります。日本人は世界の中でも最も勤勉といわれる国民です。

しかし、24時間という限られた中で削ってきた睡眠は、食事と同様に生きていくために不可欠な営みです。このことが、脳卒中やがんをはじめとした病気にかかる人が多い一要因になっていると考えられます。これは、子どもの学力や人格にまで影響します。

このように睡眠は個人の健康問題だけでなく、日本の経済活動から子どもたちの学力まで、社会の幅広い分野に影響を及ぼします。

しかし、このことを逆に考えると、適切な睡眠をとることが経済発展につながると考えられます。つまり、睡眠をマネジメントすることが、国家や社会、経済の将来を左右するといっても過言ではありません。

そのため、まずは個人が睡眠の重要性を知ることが肝心です。そして個人だけでなく、地域や会社組織、日本全体で睡眠の大切さを共通で理解し、その知識を共有することが必要です。