明るい光で睡眠障害やうつ病を改善する「高照度光療法」

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人の体には体内時計が備わっており、その時計にしたがって体が働きます。この体内時計は地球環境に適応し、効率よく生きるために獲得されたものだとされています。つまり、体内時計によって刻まれるリズムに合わせて生活することは、健康的な生活を送るうえで必須になります。

しかし現代社会では、多くの人がこのリズムから外れた生活を送っています。夜遅くまである塾、24時間放送されるテレビ、夜勤などがその代表例です。このような生活を送っていると体内時計が乱れてしまい、さまざまな病気を発症します。

では、このような生活を送らざるをえない場合はどのようにすればよいでしょうか。実は、体内時計には外からの刺激でリセットされる機能があります。今回はその中でも一番効果が高い「光」を用いた不眠治療について述べていきます。

生体リズムを調整するのは光、食事、運動

長期休暇や急な仕事などで生活リズムが狂うことは日常茶飯事です。しかし、体はその度ごとにリズムを調整しています。

わずかなズレや短期間のものなら自動的に調整されます。ただ、ズレが大きく長期にわたるものはその調整が難しくなります。

このときに調整してくれるのが周りの環境になります。その中でもとくに、日光、食事、運動の3つは生体リズムを調整する作用が強いとされています。このことが、「朝は日光を浴びなさい」「朝ごはんは食べなさい」などといったものの理由になります。

強制的に光を浴びてリズムを調整する

いつも夜遅くまで起きていると、生体リズムは全体的に遅い方にズレてしまいます。つまり、遅寝遅起きになってしまいます。この逆もあり、午後7時に寝て午前2時に起きるなど、異常に早く寝て早く起きる人もいます。前者は若者に多く、後者は老人に多いです。

これらは専門用語で「睡眠相後退症候群」「睡眠相前進症候群」といわれます。

光には「生体リズムを調整してくれる」という特徴があるため、このような状態の人には光を活用した治療が効果的です。その治療法を高照度光療法といいます。

光は網膜を通して脳内に入り、体内時計にその情報が送られます。体内時計はその情報をもとに、生体リズムを調整します。

人間の体は、深部体温の低下によって眠気が生じます。そのため、深部体温が最低となる時刻より前に光を浴びると、体内時計の針が巻き戻されて夜更かしになります。つまり、夜に明るい光を浴びると、 眠るのが遅くなってしまいます。

逆に、深部体温が最低となる時刻の後に強い光を浴びると、針が進んで早起きになります。これは、朝に日光を浴びた状態です。以上のような体の性質を利用して、睡眠障害の治療を行います。

高照度光療法による治療

高照度光療法は、2500~10000ルクスの光が必要です。これは、晴れた日の屋内の窓際にいるときと同じくらいの明るさです。

睡眠相後退症候群の患者さんには、起床後に光を浴びてもらいます。逆に睡眠相前進症候群の患者さんには、夜に光を浴びてもらい、朝にはサングラスなどで光を遮断します。実はこの治療は、睡眠障害だけでなく季節性うつ病や高齢者の認知症にも効果があることがわかっています。

さらに、実際は機械を使って治療が行われますが、日光やサングラスなどがあれば家でも実施できます。先ほど述べたような睡眠障害やうつ、認知症がある人は、光を用いた治療を試してみてください。家で実施すれば、お金も手間もかからずにこれらの症状が改善するかもしれません。