偏った考え方を修正し、不眠を解消する「認知行動療法」の概念

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不眠だけでなく、体に何かしらの不調があると、以前とは違った考え方にとらわれてしまう人が多いです。例えば、「不眠は自分の健康に対して深刻な悪影響を与えている」「膝が痛いから一生買い物にも行けないし、自分は不幸だ」など、極端なマイナス思考になってしまっています。

このような考え方の偏りを修正することによって、その症状を軽減させるのが「認知行動療法」です。今回は、この認知行動療法について述べていきます。

認知療法と行動療法

認知行動療法は、睡眠に対する偏った考え方の修正を目指す認知療法と、睡眠に悪影響をおよぼす行動や習慣をあらためることによって眠れるようにする行動療法の二つからなります。

偏った考え方があると、不安がつのってますます目が覚めてしまいします。さらに、「こんなんことを考えても仕方ないから、もう考えないようにしよう」と思うと、逆にその考えにこだわってしまい、悩みと不安の負のスパイラルに陥ります。そこで、認知療法によって考え方を正します。

また、人間の反射を使って、布団や枕などの刺激を睡眠という行動と結び付ける「刺激コントロール法」や、寝床にいる時間を減らして、深い睡眠を誘導するという「睡眠制限療法」などは行動療法に当たります。

認知行動療法の効果

認知行動療法は、欧米でさかんに研究されています。その中でも、不眠症の患者さんの7~8割に有効であることがわかっており、寝つきの悪さ、熟睡感のなさ、夜間に目覚める回数、総睡眠時間、睡眠に対する満足度などの改善効果があることが分かっています。

また、断薬にも効果を発揮しています。通常通り減薬した人たちと比較して、認知行動療法を併用した人たちは、その中止成功率が2倍近かったという報告もあります。

このような効果が高い治療法ですが、この治療には時間やお金がかかるため、日本ではそこまで普及されていないのが現状です。現在では、この問題解決に向けて、グループ治療や短期間で行う方法、「本や電話、メールを使った方法」など、この治療の普及に向けて新たな方法が開発されています。

認知モデルにおける不眠症

この治療はどのような考え方からなっているのかを解説します。

① 過度にネガティブな認知行動(認知的覚醒、不安)

認知の歪みから不安が強くなり、眠れなくなります。そしてこの覚醒は、「眠らなければならない」という睡眠努力を引き起こし、さらに認知の歪み、不安、覚醒を悪化させます。

② 身体的覚醒と不安感

認知的な問題から生じた覚醒、不安が長引くと、実際の身体の反応としてあらわれます。この状態になると、①の段階より、さらに覚醒度や不安度が強くなります。

③ 睡眠関連刺激への注意、観察(時計の音などが気になる)

身体的な覚醒と不安感がでてくると、音や光などに対する反応が過敏になります。これは、さらに覚醒度を悪化させ、不眠を増悪させます。

④ 知覚の歪み(睡眠喪失の過度な見積もり)

最終的には、不眠が自分に与える影響について考え始めます。このとき、過度にネガティブな思考を行い、さらに認知の歪みを作り出します。

以上のように、認知行動療法では偏った考え方が睡眠障害の根底にあり、それが不眠行動につながっていると考えます。そのため、この偏った考え方である認知の歪みを改善すると、不眠を解消するということになります。

このような概念によって、認知行動療法が行われます。興味がある方は、本やインターネットでの自己治療から始めて、それでも改善しない場合は近くの専門家を探して相談するようにしてください。