人の体に体内時計(生体リズム)が備わっている理由

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人の体には、生体リズムというものがあります。生体リズムは睡眠・覚醒のリズムや心臓の拍動、呼吸などのリズムを形成しており、健康的な生活を行う上でかかせないものになります。

生体リズムは体の中にある体内時計によって作られています。この体内時計はどのようにして獲得されたのか、そしてなぜ人の体に備わっているのかについて述べます。

どのようにして生体リズムを獲得したのか

生物は約24時間の生体リズムをもっています。このリズムは「サーカディアンリズム」といわれ、睡眠・覚醒のサイクルやホルモン分泌など、生命活動の維持に必要な体の機能に関係します。

サーカディアンリズムがどのように獲得されてきたかは、さまざまな研究がなされました。その結果、生体リズムは宇宙への適応の産物として、効率よく生きていくために獲得したものと考えられています。

その中でもサーカディアンリズムは、太陽の光のリズムに適応した結果としてうまれたものです。地球の自転と公転によって、太陽の光は約24時間周期で地球に影響を与えます。この周期に合わせて生活するために、生体リズムが刻まれているのです。

また、宇宙からは太陽の光だけでなく、さまざまな目に見えない数え切れないほどのシグナルが届いています。

その例として、月との関係です。月の満ち欠けは約28日の周期で起こります。このリズムは女性の月経周期と関係しています。

そして、このようなリズムは人間の体内だけにとどまりません。季節の変化はその代表的な例ですが、それだけではなく株価の変動や地震の発生率なども、年や数十年単位でリズムが認められることが示唆されています。

以上のように、生体リズムは宇宙からのさまざまなシグナルによって獲得されたと考えられています。

なぜ体内時計が備わっているのか

地球に生きる生命はすべて体内時計をもっており、さまざまな時の流れを刻んでいます。時間生物学では、体内時計の必要条件を3つ挙げています。

① 他から時刻情報を受け取ることなく、自動的に時間を刻み続ける能力がある
② 環境に左右されることなく、リズムが安定的である
③ 本当の時刻とずれたときに、時計を調整できる

体内時計であるとされるには、これらの条件を満たす必要があります。

一般に、物理・化学の法則では温度が下がると、酵素などの反応速度は1/10 以下まで遅くなります。一方、体内時計の場合は環境温度の変化に関係なく、決まった周期で変動されます。

例えば、動物の冬眠において、その体温はかなり低くなりますが、体の反応速度は維持されています。このとき、体温の変化に応じて体内の反応速度が変化していては、生命を保てません。

では生物は何のために、体内時計という精巧な機能を身につけているのでしょうか。生命に体内時計が必要な理由として、学問的には2つのことが考えられています。

一つ目は、「種の保存」を有利にするためです。 例えば動物は体内時計によって、子育てに必要な時期を計っています。適切な時期に出産を行うことによって、未熟で環境の影響を受けやすい時期を乗り越えます。これによって、その種の保存が保たれます。

そして二つ目が、「個体の生存」に不可欠であるという考えです。細胞が生命活動を円滑に行うためにはエネルギーが必要です。そのエネルギーを効率よく作り出すことは、生きていく上で必須になります。

各々の細胞活動が体内時計により、順序よく秩序だった生命活動を行うことによって、効率よくエネルギー産生を行うことができるのです。

以上のように、生物はさまざまな自然現象、宇宙現象に適応した進化を繰り返してきました。そのような中で、子孫を絶やすことなく生き延びていくための手段として、体内時計を獲得したということです。