体の条件反射を用いて不眠を改善する「刺激コントロール法」

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パブロフが行った反射の話は、多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。鐘が鳴ったときに犬へエサを与えるようにすると、その犬は鐘の音を聞いただけでよだれを垂らすようになったという話です。これは、条件反射といわれます。

実は不眠の解消にも、この反射が使われた治療法があるのです。今回は条件反射を用いた不眠の治療について解説します。

条件反射と睡眠

よく眠れる人の頭の中では、寝室や布団、時間などと睡眠が関係あるものとして認識されています。このような人は、寝室や布団に入ることや決まった時間が条件となって、反射として眠りが誘発されます。

これは、直前まで騒いでいた子供が、電気を消したとたんに寝息をたてはじめるのと同じです。条件反射がうまくいっている証拠だといえます。

一方、不眠の人は布団や時間など、通常なら睡眠と関連付けられているはずの物事が、不眠と結び付けられてしまいます。

つまり、布団や寝室、就寝時間、枕が不眠の原因と関連付けされてしまっているのです。これも条件反射ですが、この反射はよくない反射となり、これらの条件が逆に不眠を作り出してしまうのです。そして、このときの条件反射をうまく使って不眠の治療を行うのが「刺激コントロール法」になります。

刺激コントロール法

この治療は、1987年にアメリカのリチャード・ブーチンらによって発表されました。簡単に説明すると、不眠の条件反射という悪循環を断ち「布団、寝室、枕=リラックス、快眠、幸せ」という考え方に思考を転換する治療になります。

この方法は6つの単純なルールからなり、心理学的な手法にしたがって寝室やベッドが睡眠に結びついた条件になるように再学習します。

以下にそのルールを載せます。

① 眠くなってから布団に入る

「眠れないのに布団の中で悩んで長時間いるような状態」を排除するルールです。眠くないのに布団の中で過ごすのは時間の無駄と考えます

② 寝床を睡眠と性行為以外の目的に使わない

睡眠と寝床を積極的に関連付けるためのルールです。

③ 眠れなければ、寝室を出てほかの部屋に移る

通常では、布団に入って15分以内に眠り始めます。眠れないのに布団の中にいるのは無駄です。このような場合は、他の部屋でリラックスできることや単純作業などを行います。

④ 眠れるまで、夜通しかかっても③を繰り返す

眠くなったら布団に入り、15分経っても眠れないときは部屋を移すということを繰り返します。

⑤ 睡眠時間にかかわらず、朝きまった時刻に起きる

起床時間を一定にすることによって、睡眠と覚醒のリズム形成を行います。

⑥ 日中は居眠りや昼寝をしない

この治療法では、眠気が最大限になったところで寝床に入ることを目標にします。日中などに昼寝や居眠りをすると夜の眠気が減ってしまうため、極力避けます。

刺激コントロール法は、以上のようなルールを守るだけです。単純ですが、この治療法はアメリカ睡眠医学会において、薬を使わない不眠治療法の標準として最優先に位置づけられています。

不眠の方はこの6つのルールだけでも守ってみると、不眠解消のきっかけになるはずです。