認知行動療法で重要な「認知の歪み」とは何か

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認知行動療法は根底にある認知の歪みを改善し、行動の変容につなげる治療です。このとき、「認知の歪み」とは何であるかを理解することは重要です。

マイナス思考はネガティブな感情につながります。そのため、まずはネガティブな感情がわいたら、その直前かその最中に何かマイナスな考え方はしなかったかを思い出すことが大切です。

また、このマイナス思考はあなたの生き方の一部になって根付いており、もはや自動的なものになっています。そして、このマイナス思考を生み出しているのが認知の歪みです。

今回は、この認知の歪みの定義について解説します。認知のゆがみについて理解するにはいくつかの法則を理解する必要があるため、まずはそれらについて述べていきます。

全か無か思考

全か無か思考とは、ものごとを極端に白か黒かどちらかに分けて考えようとする傾向のことです。このような考え方は非現実的です。なぜなら、人生において「完全に○○である」などということはほとんどないからです。

世の中には「完全」ということは存在しがたいです。このように中間色がなく、黒か白かで考える考え方は専門用語で「二分法思考」といい、多くの人にとって認知の歪みとなっています。

一般化のしすぎ

一般化のしすぎとは、あることが一度あなたに起こったとすると、それが何度も繰り返し起こるように感じてしまうことです。

例えば、一度、いつもと違う運動や食事を行った夜に眠れなかったとします。そのとき「あの運動や食事は眠りを妨げるのだ」と考え、その後もずっとその運動や食事を避けるような行動を行うことです。

心のフィルター

心のフィルターは専門用語で「選択的抽象化」といいます。特別製のレンズのついた眼鏡をかけて、世の中のポジティブなこと、明るいことを見えなくしてしまっている状態のことです。

マイナス化思考

最も問題になりやすいのが、このマイナス化思考です。これは、何でもないことや良い出来事を悪い出来事にすり替えてしまう思考です。

このような考え方は人生の豊かさを奪い、必要以上に悲しいものにしてしまいます。

結論の飛躍

結論の飛躍では、事実と違った悲観的な結論を一足飛ばしに出してしまうことで、「心の読みすぎ」と「先読みの誤り」に分けられます。

例えば、あなたが部下の指導を行っている立場にあり、その指導中に部下が眠たそうにうとうとしていたとします。

実際は前日に徹夜で仕事を行ったため、このような状態になっていたのですが、結論の飛躍をしてしまうと、事実の確認もせずに「自分はなめられているから、部下は眠っているのだ」などと飛躍して考えてしまいます。

拡大解釈と過小評価

これもよく陥りやすい思考です。簡単にいうと、対象物を拡大して見たり、縮小して見たりしてしまうことです。

例えば、たまたま猛暑日で寝苦しかったために眠りが浅く、夜中目覚めたとします。このような場合に拡大解釈をしてしまうと「自分は少しでも暑かったりすると、眠ることができないのだ。夏は毎日眠れない」などと考えてしまいます。

感情的決め付け

感情的決めつけとは、自分の感情をあたかも事実を証明する証拠のように考えてしまうことです。例えば、「私はダメ人間のように感じる。それが何よりダメ人間の証拠だ」というような考え方です。

そもそも感情というのは、単に考えの反映にすぎないため、考え方が歪んでいると感情には妥当性がなくなります。

すべき思考

すべき思考とは、何かをやるときに「これはすべきだ」「これをしなければならない」と考えてしまうことです。このような考え方は、必要以上のプレッシャーを与え、自分自身を追い詰めます。

また、この考え方を他人に当てはめると、自分がフラストレーションを感じるようになります。対人ストレスの多くは、このすべき思考を他人に当てはめていることから生じます。

レッテル貼り

レッテル貼りは、間違った認知に基づいて完全にネガティブな自己イメージを作ってしまうことです。「極端な形の一般化のしすぎ」ともいえます。

この背景にあるのは「人の価値はその人の犯す間違いによって決まる」という考え方です。失敗したり、負けたりした場合に、「失敗者」「敗北者」というレッテルを貼ります。

この考え方は、自己破壊的かつ不合理な考え方です。また、他人にレッテルを貼ると、たいていは敵意を巻き起こします。

個人化

個人化とは、よくない出来事を理由もなく自分のせいにして考えてしまうことです。例えば、子供の成績が悪かったことを、親が「これは私の責任だ。ダメな親だ」などと考えることです。

自分は他人に影響は与えてはいますが、操作をしているのではありません。その人の行為の結果は、結局はあなたではなくその人の責任です。他人のことまであなたが責任をとる必要はないのです。

認知に歪みがある方は、以上のうちのどれかに当てはまります。まずは、何かしらの感情がわいた際、根底に認知の歪みはないか、そして認知の歪みはどのような思考が原因かということを見つけだすことが、認知行動療法による治療の第一歩になります。