薬剤性脱毛症の原因と症状:医薬品の副作用による薄毛

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「薄毛の治療」ということを考えている人にとっては、「治療の過程で薄毛が起こる」ということは、非常に不思議に思えるかもしれません。しかし、なんらかの病気の治療の過程で薄毛が起きることもあります。これを薬剤性脱毛症といいます。

薬剤性脱毛症とは、薬の副作用によって起こる薄毛のことを指します。薄毛というのは、薬の影響によっても生じるのです。そこで、「薬剤性脱毛症」という観点から薄毛を確認していきます。

薬剤性脱毛症とは何か

薬剤性脱毛症とは、薬の副作用として髪の毛が抜けたり、育たなくなったりすることによって起こる脱毛症のことを指します。

どんなに良いと言われる薬であっても、そこには必ず副作用が存在します。吐き気や眠気、めまいといったものは、薬の副作用として多くの人にとって想像がつきやすいものでしょう。そのなかの一つとして、「薄毛」があるのです。

薬剤性脱毛症ならではの特徴と症状

薬剤性脱毛症には、ほかの脱毛症にはない特徴があります。それは、「薬の服用をやめることによって、脱毛は改善する」ということです。あくまで薬の副作用で薄毛が起きているため、根源的な原因である「医薬品の服用」をやめれば改善するのです。

ただ、髪の毛の成長は毛周期が司っているため、薬の服用をやめても、ある程度の期間までは影響が続くと言われています。この期間は長くても数か月程度です。

ただ、薬剤性脱毛症の場合、薄毛よりも大きな問題である「がんなどの治療薬」によって、その症状がもたらされることもあります。こうした重い病気では、「薄毛が気になってきたから」という理由で勝手に服薬を中断するのは極めて危険です。必ず医師に相談し、判断を仰ぐ必要があります。

抗がん剤と薬剤性脱毛症

「病気で髪の毛が抜け落ちる」ということを耳にしたとき、多くの人が、その病気として「がん」を思い浮かべるでしょう。抗がん剤による脱毛症は、とても深刻です。

成長期にある人間の髪の毛は、細胞分裂を繰り返しています。抗がん剤は、この細胞分裂を抑制します。

がん細胞は、分裂や増殖を繰り返して人間の体を傷つけます。このため細胞分裂を止めることができれば、がんはそれ以上育つことができず、死んでいくのです。抗がん剤は、がんの増殖をとめるために、「細胞分裂を抑制する」という働きを担って体に入ってくるのです。

このため、抗がん剤はがん対策として非常に有用なのですが、髪の毛の細胞分裂も止めてしまいます。そのため、髪の毛の毛母細胞も活動ができなくなってしまいます。この結果として、脱毛が起きるのです。

現在では分子標的薬と呼ばれるような「脱毛が起こらない抗がん剤」も存在しますが、細胞分裂に働きかけるタイプの抗がん剤であると、脱毛を止める手立てはありません。

抗がん剤の投与をやめるしか方法がありませんが、これは先ほどお話したように、医師の診断にゆだねられます。そのため、抗がん剤を使うことになった場合は、ウィッグや帽子などを準備し、抗がん剤の影響に備えるという手立てをとることが現実的です。

それ以外にもさまざまな薬で脱毛が起こりうる

また、抗がん剤以外にも、さまざまな薬で脱毛症が起こりうると言われています。

特に可能性が高いのが、「ヘパリン」と呼ばれるものです。ヘパリンは血液が凝固するのを防ぐ薬であり、血栓症などに対して非常に有用に働きます。ただ、脱毛を引き起こす可能性は非常に高く、約半分の確率で脱毛症を生じると言われています、

また、ビタミンA誘導体であるチガソン(一般名:エトレチナート)は、乾せん(皮膚の異常)に有効に働く半面、2割程度の確率で副作用として脱毛症状がみられます。

てんかんの治療薬として知られているテグレトール(一般名:カルバマゼピン)も同様に、2~6%程度の確率で脱毛を招きます。またそれ以外にも、血糖値を硬化させる薬や血圧を下げる薬にも、脱毛症状を副作用として持っているものがあります。

このように薬剤性脱毛症は、多くの薬の副作用として見られます。独断で薬をやめることは絶対に避けるべきことですが、気になるようでしたら、医師に相談するとよいでしょう。