硬水に含まれるミネラルが原因で下痢になることはない

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水に関してよく言われることの一つに「カルシウムやマグネシウムなどのミネラルをたくさん含む硬水は下痢を引き起こす原因になる」ということがあります。確かに、ヨーロッパなどの硬水が豊富な地域に旅行に行くと、下痢になる人は多いようです。

しかし、本当にその下痢は硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが原因なのでしょうか。今回は、硬水と下痢についてその関係性を述べます。

下剤に使われるマグネシウムの濃度

病院で処方される下剤には、マグネシウムが含まれているものが多いです。ただ、水に含まれるマグネシウムに下剤作用があるかというと、かなり微妙です。マグネシウム濃度が高い「コントレックス」という水のマグネシウム濃度は84㎎/Lです。それと比べて、例えば硫酸マグネシウムという下剤に含まれるマグネシウム濃度は3900㎎/Lです。つまり、下剤に含まれるマグネシウム濃度は、硬水と比べて46倍も高いということです。

マグネシウムやカルシウムに限らず、どのようなイオンでも大量に摂取すれば、下痢を起こすことは当然です。つまり、硬水に含まれる程度のミネラル量では、下痢を引き起こす原因になるとは考えにくいです。

実際、硬水が豊富なヨーロッパの水道水でも、カルシウムとマグネシウムを合計した量ですら200~400㎎/L程度といわれています。これでも下剤に含まれるマグネシウム濃度の1/10程度です。つまり、一気に1リットル飲むか、もしくはよほど胃腸が弱い人でない限り、ペットボトルなどで硬水を飲むことによって下痢になることはないはずです。

健康食品の中に過剰にミネラルを含むものがある

骨粗しょう症の患者はたくさん存在し、カルシウム摂取の重要性が大きくいわれています。そのためか、健康食品の中には、ビスケットなどに600㎎のカルシウムを添加しているものもあります。

これは、ヨーロッパの水に比べて約2倍近くのミネラル分であり、ヨーロッパの水を飲むよりはるかに高分量のカルシウムが腸へ入ります。つまり、もし硬水に含まれるミネラルが原因で下痢を起こすのであれば、この健康食品を食べても下痢になるはずです。しかし、そのような話は聞いたことがありません。

実は、下痢には神経性の下痢というものがあります。つまり、緊張やストレスなどによって下痢を起こしてしまうというものです。海外旅行は楽しいものですが、異国に行くということもあり、多少の緊張あるでしょう。

さらに、そのような状態でカルチャーショックを受けると、その緊張もさらに高くなります。海外旅行中に下痢をする人は、このような神経性の下痢の可能性も考える必要があります。以上のようなことからも、硬水に含まれるミネラルで下痢になってしまうという心配は必要ありません。

ヨーロッパの水は注意が必要?

ヨーロッパに行くとき、旅行会社などから「ヨーロッパは水が悪く、水道水は飲めないためミネラルウォーターを飲むように」といわれることがあります。しかし、これは正しいのでしょうか。

ヨーロッパの水は、日本の水と比べてカルシウムやマグネシウムなどのミネラル濃度が高いです。つまり、「天然のミネラルウォーター」というわけですが、もしそれが原因で体調を崩す人は、日本で販売されているミネラルウォーターでも体調を崩します。

また、ヨーロッパでは湧水や地下水を水道水源にしていますが、水質が良いという理由から塩素消毒をほとんどしない場合もあります。さらに水の味を悪くするという理由で、残留塩素が0.1㎎/L以下という基準があります。これは、そこまで殺菌をしなくても問題がないことがわかっているからです。

このようなことからも、ヨーロッパの水だからといって特に注意する必要はありません。むしろ残留塩素濃度などは、日本と比較すると断然低いのです。

以上のことから、硬水に含まれるミネラルが原因で下痢になることは考えにくいです。むしろ、そのことを意識しすぎて神経性の下痢を起こす場合が多くなります。あなたも海外に行く際は、このような事実を頭に入れた上で、飲む水を選んでください。