水道水につく不快なにおいの正体

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住む場所が変わったとき、そこの水道水が臭いと感じる人は多いのではないでしょうか。一般的に、都会に行けば行くほどそのように感じる人が多いように感じます。

これは、水道水に含まれる成分の違いによるものです。 それでは、田舎の水道水と都会の水道水では具体的にはどのように違うのでしょうか。今回は、水に臭いをつける成分について解説します。

いやな臭いをつける物質

水についたわずかな臭いで、その存在に気づく人は少ないと思います。しかし、その臭いが強いと、これは誰でも感じるものとなります。料理の味を変えてしまうほどでもあります。

そのような性質のある物質は数多くありますが、代表的なものとして「フェノール系塩素化合物」「シクロヘキシルアミン塩素化合物」「ジェオスミン」「硫化水素」「油分」の5つがあります。

フェノール系塩素化合物とは、フェノール類と塩素が反応してできたものです。フェノール類は、昔よく消毒に使われていたものに含まれており、河川に流れ込む事故がよく起きていたことで知られています。

このフェノール類は、水をろ過する過程では除去できません。そして、塩素消毒する際に塩素と反応し、悪臭を放つ「クロロフェノール」というフェノール系塩素化合物が生成されます。この化合物は、あまりに臭いが強くて問題となったため、水道基準で0.005mg/L以下と決められています。

次に2つ目のシクロヘキシルアミン塩素化合物とは、人工甘味料の原料と塩素が反応してできたものです。つまり、人工甘味料という化学物質が河川に流れ込み、その河川の水を水道水源にしてしまうと発生してしまいます。この塩素化合物はごく微量でも不快臭となり、大きな問題になります。

そして3つ目のジェオスミンとは、藍藻類といわれる植物をえさにする「放線菌」という微生物から作られるものになります。

そのえさである藍藻類は、植物の三大栄養素であるリン酸塩や窒素の濃度が増えると増殖します。そのため、湖やダムの周りに植物の栄養素であるリン酸塩や窒素が増えると、結果的にそこにジェオスミンが発生してしまうのです。

この物質は、都会でよく問題になる水道水のカビ臭いにおいを作ります。そして、現在普及している多くの浄水器ではこの物質を除去できません。

そして4つ目の硫化硫黄水素 とは、空気の存在しないところで有機物が分解されると発生する物質です。硫化水素は温泉によく含まれることで有名で、卵が腐ったような臭いがします。その臭いを嗅いで、「この温泉は体にいいのだ」と思う人もいるかと思います。

しかし、硫化水素は猛毒です。実際に硫化水素が含まれる温泉に入って中毒死した例もあります。このような猛毒が水道水に入り込んでいる場合もあるのです。

そして最後が油分です。これは生活排水や工場からの燃料が漏れ出て、水道水に入り込んでしまいます。基本的に油は水に溶けませんが、わずかには溶け出してしまうため、水道水に入り込む可能性があります。

有名な「カルキ臭」の正体

よく水道水がカルキ臭いということはいわれますが、このカルキ臭は何から発生しているのでしょうか。実はこのカルキ臭は、水道水の消毒のために使われる塩素の「塩素ガス」によるものです。

水道水は、コレラ菌や赤痢菌が入りこまないように、塩素消毒が行われます。その塩素ガスが溶け込んだ水のにおいは、カルシウムが含まれる「さらし粉」というものを溶かした水と似ています。そして、そのさらし粉のにおいは、カルシウムに由来することからカルキ臭といわれます。

したがって、塩素の臭いがする水道水をカルキ臭といいますが、実はこれは間違っているということになります。カルキ臭はカルシウムのにおいであり、塩素のにおいとは違います。水道水のそのような臭いは、正確にいうと塩素臭ということです。そして、この塩素臭は沸騰や一日置いておくことによって消すことができます。

以上のように、水道水にはさまざまな物質が入り込むことによって、そのにおいが作られています。それらの物質はにおいをつけるだけでなく、体にとって害を与えるものもあります。

そのため、そのすべてを取り除くことはできませんが、沸騰させたり、浄水器を使用したりすることによってそれらの物質を除去することも、健康のためには必要なことになります。