乳幼児への水の大切さ:粉ミルクと乳幼児突然死症候群の関係

2ee9cd39d75e35bca8a124a871d31152_s

原因なく乳幼児が突然死んでしまう病気として、乳幼児突然死症候群というものがあります。これは出生後2~6か月の乳幼児に多く、関係ある因子として「うつぶせ寝」「両親の喫煙」「粉ミルク」の3つが挙げられます。

この中でも、うつぶせ寝や喫煙に関しては家族が気をつければどうにかなるものだと思います。しかし、粉ミルクに関しては、どうしてもそれに頼らざるをえない場合が存在することとなります。

粉ミルクは特別用途食品に指定されており、含まれる成分はある程度決められています。しかし、その粉を溶かす水に関しては人それぞれというのが現状です。実は、粉ミルクを溶かす水が乳幼児突然死症候群となってしまうことがあるのです。

そこで今回は、水と乳幼児突然死症候群について述べます。

粉ミルクの成分と溶かす水

粉ミルクは特別用途食品に指定されているため、含まれる成分はある程度決まっています。例えば、タンパク質であるカゼインとアルブミンの含有量、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率、ビタミンやミネラルの比率など、当たり前ですがその成分は一定以上の栄養があるものでなければなりません。

粉ミルクの原料は基本的にはウシの乳を使用しているものがほとんどですが、最近ではアレルギーも考慮され、大豆を原料とする製品なども販売されています。その他にもヤギや羊などの乳を原料にするものもあります。

また、通常粉ミルクは40~60℃程度のお湯で溶かします。そのため、以前は60℃に設定できる電気ポットなども多くありました。しかし、粉ミルクに細菌がいた場合、60℃では殺菌できないため、2008年以降は、一度70℃以上のお湯で溶かした後、冷ますことが厚生労働省から推奨されています。

そして、日本製の粉ミルクは、軟水である「日本の水」に合わせてその成分が考えられています。そのため、市販のミネラルを多く含むミネラルウォーターなどは、粉ミルクの成分バランスを崩してしまうので、その使用は推奨されていません。

水が原因で乳幼児突然死症候群が起こる

このように粉ミルクは、成分はある一定基準以上のものを満たしていますが、それを溶かす水に関してはとくに規定されたものがありません。しかし、先ほども述べたように、粉ミルクには合う水と合わない水、気をつけなければならない水があります。

その典型例として、1940年代のアメリカで起こった事件が挙げられます。それは、アイオワ州の農場での乳児が突然、肌が青白くなり、呼吸困難に陥るというものでした。その数は287件の報告があり、そのうち39人が死亡しました。実はこの原因が、粉ミルクを溶かした水にあったのです。

事件が起きた場所の水は、井戸水を原水とするものでした。その井戸水に含まれる「硝酸性窒素」が原因で、酸素欠乏になっていたということです。これは、その特徴から「ブルーベビー病」とも言われています。

日本の水も汚染されている

実は日本でもこの病気の報告はあります。それは実際に井戸水を沸騰させた水で粉ミルクを作ったために起こったものでした。

硝酸性窒素は、沸騰させると その濃度が高くなります。もちろん一般的に使用される水道水は、水道法で一定以上の基準は超えないように規定されています。ただ、煮沸によって硝酸性窒素の濃度基準値を超えてしまうことがあるのです。

しかも最近、日本の地下水の硝酸性窒素による汚染がひどくなってきているといわれています。実際、1999年に千葉市で行われた水質調査では、約半数以上の家庭の水がその基準値を超えていたことがわかりました。

このため、千葉市は緊急で基準値を超えた井戸に高性能浄水器を設置するために、補助金として3億5000万円を用意しました。

日本では水道水の26パーセントが地下水を原水としています。そのため、水道水に硝酸性窒素が含まれている家は多くあります。このような事件を起こさないようにするためにも、乳幼児がいる家庭は、ウォーターサーバーなどを使用し、硝酸性窒素が含まれない水を使うことが大切です。