ハードな筋トレ(無酸素運動)が尿酸値を高めるメカニズム

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日本には、痛風・高尿酸血症に悩まされている人がたくさんいます。痛風発作まで至っていない高尿酸血症の人を合わせると、900万人近くが尿酸値に異常がある状態とされています。

そして、痛風・高尿酸血症の人が病院へ行ったとき、尿酸値が高すぎるものの症状が強くない場合には、生活習慣の改善を指導されます。基本的に、痛風・高尿酸血症は生活習慣の乱れによって起こるため、症状が軽度の場合は生活習慣を見直すことで十分に尿酸値を下げることができます。

具体的には、睡眠と食事、運動習慣を見直すように言われることがほとんどです。そして実際に、生活習慣を改めることで、ほとんどの人は尿酸値が下がります。

ただ、生活習慣を改める場合には、正しい方法で行わないと逆に尿酸値を高めることになる可能性があります。特に、普段行っている運動の種類によっては、尿酸値を上げる原因になることが明らかになっています。

そこで今回は、「ハードな筋トレ(無酸素運動)が尿酸値を高めるメカニズム」について解説します。

体内でプリン体が増えるメカニズム

痛風・高尿酸血症は、尿酸値が高くなることで発症する病気です。そして尿酸は、「プリン体」と呼ばれる物質が原料となって作られます。

ビールやレバーなどが尿酸値を高める食品といわれるのは、プリン体が多く含まれているためです。体内でのプリン体量が増えると、自然と尿酸値も高くなります。

ただ実際には、食品から摂取されるプリン体は、体内におけるプリン体全体の20パーセントにしか関係していません。残りの80パーセントのプリン体は、食事以外の要素から合成されています。体内でプリン体が合成される経路には、主に以下の3つが挙げられます。

・遺伝子の代謝

「DNA」や「RNA」といった遺伝に関係する物質は、「核酸」と呼ばれるもので構成されています。そして、核酸の半分はプリン体でできているため、核酸が代謝される過程でプリン体が合成されます。

・エネルギーの代謝

筋肉や内臓、血管など、体の細胞を活動させるためにはエネルギーが必要です。そして体は、エネルギー源として「ATP」と呼ばれる物質を利用します。ATPを分解(代謝)することで、細胞を動かすエネルギーを産生しています。

このATPはプリン体によって構成されているため、ATPを代謝する過程でプリン体が産生されます

・食品からの摂取

ビールやレバーなど、プリン体を多く含む食品を摂取すると、体内のプリン体量は増えます。

体内のプリン体量は、「遺伝子の代謝」「エネルギー代謝」「食品からの摂取」の3つによって変化します。そして、体内にあるプリン体の80パーセントは、遺伝子とエネルギーの代謝過程で作られています。

ハードな運動が尿酸値を高める理由

体内に存在するプリン体の80パーセントは、遺伝子とエネルギーの代謝過程で産生されています。

そして、尿酸値を下げるために運動を指導されることが多くあります。ただ、運動の方法を間違うと、プリン体の合成を促して逆に尿酸値を高めることにつながる可能性があります。

尿酸値を下げるために効果的な運動は、「有酸素運動」です。有酸素運動とは、ウォーキングやジョギングなど、軽く息が弾む程度の負荷の運動です。

一方で、有酸素運動に対する運動として「無酸素運動」と呼ばれるものがあります。無酸素運動とは、筋トレや短距離走など、呼吸を止めながら行うようなハードな運動のことをいいます。

実は、こうした無酸素運動が、プリン体の合成を促して尿酸値を高める原因になります

無酸素運動では、筋肉を活動させるためのエネルギー源であるATPが効率的に産生されません。有酸素運動では、ATPを上手く再利用することで、エネルギーを継続的に生み出します。

それに対して無酸素運動では、ATPを再利用することができません。そして、エネルギー産生のために使用されたATPは代謝されてプリン体を作り出します。

また、無酸素運動では「乳酸」と呼ばれる代謝産物が作られます。乳酸は、腎臓に悪影響を与えて、腎臓の機能を低下させます。

通常では、体内で尿酸が過剰に合成されると、その分腎臓から尿酸を多く排泄することで、体内の尿酸量は一定に保たれます。しかし、無酸素運動を行って乳酸の産生量が増えて腎臓の機能が低下すると、余剰な尿酸を排出することができません。その結果、尿酸値は高くなります。

このように、筋トレや短距離走といった無酸素運動は、二重の意味で尿酸値を高めることにつながります。

今回述べたように、痛風・高尿酸血症を解消するためには、運動を行うことが欠かせません。ただ、一言で運動といっても、無酸素運動を行うと、逆に尿酸値を高めることになります。

そうしたことを避けるためにも、痛風・高尿酸血症の人は、有酸素運動を行うようにしてください。ウォーキングやジョギングといった有酸素運動を行うことで、尿酸値を下げることができます。