痛風・高尿酸血症の合併症:腎障害が起こるメカニズムと治療

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痛風・高尿酸血症は、尿酸値が高くなる病気として知られています。ただ、基本的に尿酸値が基準値を超えても、身体に症状が出現することは多くありません。そのため、多くの人は尿酸値が高いことに気づかないまま生活しています。

そして、何かしらの合併症が発症したとき、初めて痛風・高尿酸血症であることに気づきます。

痛風・高尿酸血症で最も問題になるのは、尿酸値が高くなることで起こる合併症です。痛風・高尿酸血症の合併症は、尿酸値が基準値を超えてしばらく経ってから発症するため、合併症の症状が出現したときには、病態が進行していることがほとんどです。

また、痛風・高尿酸血症の合併症の中でも、「腎臓(じんぞう)」に起こる合併症は最も生じやすく問題となりやすいものです。そのため、痛風・高尿酸血症を学ぶ上で、腎臓の合併症について知っておくことはとても重要だといえます。

そこで今回は「痛風・高尿酸血症の合併症で腎障害が起こるメカニズムと治療」について解説します。

腎障害が起こるメカニズム

痛風・高尿酸血症の合併症が起こる部位として、腎臓は最も頻度が高い臓器です。また、痛風・高尿酸血症の合併症の中でも、腎臓に起こる障害は命に関わる病気になります。

腎臓には、体内で作られた老廃物や有害物質を尿と一緒に排泄する役割があります。体内で発生した不要物質は、血液によって腎臓の毛細血管まで送られます。そして、腎臓の毛細血管でろ過された後に、尿として体外へ排出されます。

ろ過とは、簡単に説明すると、血液中から尿として排泄するものと、体内に再度取り込む物質を分ける作業のことを指します。つまり、ろ過することで腎臓の毛細血管から尿路へ流れる物質とそうでない物質を識別します。

このときに、血液中の尿酸も一緒に尿中へ流れ出ます。

ただ、尿酸値が高い状態では、尿酸が結晶化(尿酸塩結晶)してしまいます。すると、腎臓でろ過されるときに腎臓の組織に尿酸塩結晶が沈着します。その結果、腎臓に炎症が起きてしまい、腎臓の働きが悪くなります。

そして腎臓の働きが60パーセント以下になると、「慢性腎臓病(CKD)」と診断されます。また、さらに病態が進行すると、腎臓が機能しなくなり「腎不全」と呼ばれる状態になります。

腎不全になると、腎臓の機能を補うために「透析治療」が必要になります。

こうした事態を防ぐためには、早期に高尿酸血症を発見して対処することが重要になります。ただ、腎臓は尿酸値が高くなっても症状が出にくい臓器であるため、早い段階で見つけることは非常に難しいです。

治療方針

痛風・高尿酸血症が進行すると、腎臓に障害が出現します。そのため、この病気を早期に発見して腎臓病の発症を防ぐことが重要です。しかし、腎臓は症状が出現しにくいため、発見されたときには病態が進行していることがほとんどです。

そして、痛風・高尿酸血症で腎臓病を合併した場合には、通常の痛風・高尿酸血症に対する治療とは対処法が異なります。

例えば、痛風発作を抑えるために使用される「NSAIDs(消炎鎮痛剤)」は、腎臓への血液量を減らす作用があるため使うことができません。

また、尿酸値を下げるための薬である「プロベネシド(ベネシット)」は、その薬自体の効果が低くなります。尿酸の排泄を促す薬は、基本的に腎臓に作用して尿酸値を低下させます。そのため、腎臓自体の働きが悪くなっている場合には、薬自体が効きにくくなります。

さらに、「アロプリノール(ザイロリック)」などの、尿酸の体内における合成を抑える薬は、腎臓の機能が低下していても使用することができます。

ただ、こうした尿酸生成抑制薬は、腎臓の機能が悪くなっている場合には、副作用が起こりやすくなることが明らかになっています。そのため、使用量を加減しながら治療することが重要になります。

痛風・高尿酸血症で腎臓病を合併している場合には、このように慎重に薬物療法を行いつつ、尿のpH(酸性、アルカリ性)のバランスを保つようにすることと、水分摂取による脱水を防止することがポイントになります。

このように、腎臓病を合併しているケースでは、一般的な治療以上に慎重に治療を進めていく必要があることを知っておいてください。

今回述べたように、痛風・高尿酸血症では、合併症として腎臓病を発症することが多くあります。そして腎臓病は、初期の段階では症状が出にくい上に、命に関わる可能性がある病気です。

また、腎臓病を合併してしまうと、痛風・高尿酸血症に対する一般的な治療が行えなくなることを理解しておくことが大切です。