めまいを引き起こす良性発作性頭位めまい症(BPPV)の原因

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めまいやふらつきに悩まされて、病院を受診する人は多くいます。ただ、めまいで病院に行っても正しい診断や治療を受けることができない人も少なくありません。

これは、めまいの専門医が多くないことも理由の1つです。その一方で、医者のめまいに対する勉強不足も、正しい診断や治療を受けることができない人が多い大きな要因となっています。

一般人が間違った認識を持っていることは仕方ないかもしれませんが、めまいに関しては医療従事者も一般人と同じように誤った理解をしていることが多くあります。そうした誤った事実の1つに、「めまい=メニエール病」ということが挙げられます。

医者の中には、未だに「めまいを引き起こす原因の多くはメニエール病である」と考えている人がいます。しかし実際には、メニエール病が原因である人は、めまいを持っている人の約20パーセントしかいません。

めまいの原因として最も多い病気は、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」です。そして、めまいを持つ人の約60パーセントは、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が問題となっています。

そのため、めまいを診断・治療する上で、良性発作性頭位めまい症(BPPV)について知っておくことは非常に重要だといえます。

そこで今回は、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)の基本」について解説します。

耳奥にあるバランスを保持する仕組み

めまいを持つ人の半数以上は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が原因です。そうした良性発作性頭位めまい症を理解するためには、まず耳の奥にあるバランスを保持する仕組みについて学ぶ必要があります。

人の耳には、「音を聞く」と「バランスを取る」という2つの役割があります。その中でもめまいに関しては、特に「バランスを保つ機能」が関係しています。

バランスを保つための仕組みは、耳の一番奥にある「内耳(ないじ)」と呼ばれる場所に存在します。内耳は、「三半規管」「前庭器」「蝸牛(かぎゅう)」の3つから構成されます。そして、この中でも、三半規管と前庭器の2つがバランス機能に関係しています

三半規管内は、「リンパ液」によって満たされています。そして、頭が回転すると、リンパ液は回転方向に合わせて動きます。そして、三半規管内にある感覚細胞が、そうしたリンパ液の流れを感知して、脳へその情報を届けます。

このように三半規管では、三半規管内にあるリンパ液の動きによって、頭の回転情報を脳へ送っています

一方で前庭器の中には、「耳石(じせき)」と呼ばれる石のようなものが入っています。頭が傾くと、前庭器内にある耳石もそれに伴って動きます。そして、耳石の移動を「耳石器(じせきき)」によって感じ取り、脳へ情報を伝えます。

このように人は、耳石の動きを耳石器が感知することで、頭の傾きや重力の方向を判断することができます

そして、三半規管から得られた回転情報や、前庭器からの傾き情報を元に、「一歩足を前に踏み出す」といったような、転倒しないようにするための運動が誘発されることで、体はバランスを維持します。

良性発作性頭位めまい症の原因

人の体は、耳奥にある内耳の三半規管と前庭器が上手く相互に作用することでバランスを保持しています。良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、こうした三半規管と前庭器にトラブルが生じることで発症します。

具体的には、前庭器内にある耳石が古くなって剥がれ落ちた後、三半規管に入り込みます。そして、中に入った耳石によって三半規管に異常な刺激が加わり、そのことがめまいを引き起こします。

通常であれば、古くなって剥がれ落ちた耳石は自然と排泄されるため、三半規管内に入り込むことはありません。ただ、何らかの原因によって古くなった耳石が処理されることなく三半規管に入ってしまった結果としてめまいが起こる病気が、良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。

古くなった耳石が処理されずに三半規管へ入る原因は、はっきりしていません。ただ、そうした現象が起こりやすいのは、就寝時などで頭の位置が低くなっているときです。

一度、三半規管内に耳石が入り込むと、急に頭を動かして耳石が移動するたびに三半規管が異常な運動を感知します。例えば、起床時や寝返り時、姿勢を変えるときなどに頭が動くと、耳石の運動が伴うためにめまいが起こります。

このように、耳の奥深くにあるバランスの崩れを感知するための内耳におけるトラブルが、良性発作性頭位めまい症(BPPV)を発症する原因になります。

今回述べたように、めまいを引き起こす原因の多くは良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。そのため、めまいに悩まされている人は、このような良性発作性頭位めまい症(BPPV)に関する基本的なことを理解しておくことが大切です。