耳鳴りが治らない原因:ドクターショッピング

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耳鳴りに悩まされる人の中には、何十年という長い間症状を抱えたまま生活をしている人もいます。このように、耳鳴りで病院に行っても原因不明とされて、適切な治療を受けることができずに困っている人はたくさんいます。

また、原因不明とされた場合、ほとんどの人が他の病院を受診することを検討します。そして、次の病院でも原因不明と診断されて病院を転々とするようになります。こうした状態は「ドクターショッピング」と呼ばれるもので、病気の慢性化に関係してくるようになります。

耳鳴りが慢性化している場合には、「耳鳴りの原因がはっきりしていない」ということと、「気にし過ぎている」という2つの問題が考えられます。

そして、ドクターショッピングの状態となっている人の場合、「気にしすぎている」ことが大きく影響しているケースが少なくありません。そのため、このように「耳鳴りを気にしすぎることでも症状が長期化する」ということを理解しておくことが大切です。

そこで今回は、「耳鳴りが治らない1つの原因となるドクターショッピング」について解説します。

ドクターショッピングと耳鳴り

耳鳴りに悩まされる人には、数十年以上も症状が続いているという人も少なからずいます。そして、耳鳴りが慢性化している人には、「ドクターショッピング」をしている人が多いことが明らかになっています。

ドクターショッピングとは、「複数の医療機関を転々と受診している状態」を指します。

多くの人は、原因不明と診断されたり、治療の効果が現れなかったりすると違う病院を受診します。一般的には、2つか3つの病院を受診した時点でドクターショッピングを止める人がほとんどですが、中には5つ以上の医療施設を訪れる人もいます。

そして、このように耳鳴りで病院を転々とする人のほとんどは、症状が慢性化しています。

耳鳴りは、最初は限られた時間でのみ起こることがほとんどです。しかし、症状が長引くと常に耳鳴りがあるような恒常化した状態になってしまいます。そうなると、耳鳴りを今まで以上に強く意識するようになります。

そして、耳鳴りは意識するほど脳内に「苦痛の回路」を形成してしまいます。その結果、耳鳴りによる苦痛が強くなるだけではなく、どんどん耳鳴りが治りにくくなってしまいます。

耳鳴りに悩む多くの人は、そうした苦痛を少しでも取り除きたいという思いから、ドクターショッピングに走ってしまいます。

また、ドクターショッピングを行うことで、多くの医者から「原因不明」や「気のせい」「意識しすぎ」という言葉をかけられると、さらに耳鳴りを意識するようになり、負の連鎖に陥ってしまうことになります。

意識するほど悪化する

耳鳴りに悩む人の中には、症状が慢性化しており、ドクターショッピングの状態になっている人が多くいます。そして、そうした負の連鎖に陥ることで、耳鳴りはさらに強く、治りにくい状態になります。このように耳鳴りは、意識するほど複雑になります。

疲れたときなどに耳鳴りがする程度であれば、多くの人が経験していることで、気にしていない人がほとんどです。

しかし、就寝時など、ある一定の条件で耳鳴りが出現するようになると、急に耳鳴りを意識するようになります。その結果、そうした場面になったときに、耳鳴りばかりを気にするようになります。

耳鳴りを意識すると、脳内の「前頭前野」と呼ばれる部分が活動するようになります。そして、前頭前野の働きによって、「なぜ耳鳴りが起こるのだろうか?」「この耳鳴りは治るのだろうか?」ということを考えるようになります。

ここで、適切な治療を行って、耳鳴りが治れば前頭前野の活動は正常に戻ります。しかし、原因不明と診断されて症状が続くような状態になると、さらに前頭前野は活発に働くようになります。その結果、耳鳴りに対する不安がどんどん強くなります。

また、耳鳴りを意識することで「大脳辺縁系」と呼ばれる本能や情動、記憶に関わる部分や、「聴覚野」と呼ばれる音を感じる部位の活動も高くなります。

そのため、過去の記憶と耳鳴りがつながることで、関連する場面に遭遇すると耳鳴りが生じるようになったり、耳鳴りが起こっていないのに起こっているように錯覚したりするようになります。

さらに、大脳辺縁系の近くに存在する「帯状回」と呼ばれる場所は、物事の認識に関わります。そして、耳鳴りで帯状回の活動が強くなると、「重大な病気にかかっているのではないか?」「このまま耳が聞こえなくなってしまうのではないか?」というような誤った認知が強化されます

このように耳鳴りは、意識すればするほど脳のさまざまな部位を過剰に反応させて、症状を強く治りにくくします。

今回述べたように、耳鳴りはドクターショッピングという状態に陥りやすい病気の1つです。そして、ドクターショッピングのように、耳鳴りを過剰に意識することは、脳内のさまざまな部位を過剰に活動させて、さらに症状を慢性化させることになります。

耳鳴りを慢性化させないためには、このような耳鳴りの特徴を理解しておくことが大切です。