耳鳴りに対する補聴器治療の実際

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耳鳴りは、病気の中でも「症状が慢性化しやすい」と考えられているものの1つです。そして実際に、何十年と耳鳴りに悩まされている人は多くいます。このような人たちは、耳鳴りで病院を受診しても、「原因不明」と診断されて、適切な治療を受けることができないために耳鳴りが慢性化してしまいます。

このように、多くの病院が「耳鳴りに対して適切な診断と治療を行えていない」という状況にあります。

ただ、ほとんどの耳鳴りは適切な診断と治療を行うことで改善することができます。そして、そうした治療は特別なものではなく誰にでも行えるようなものです。

そこで今回は、耳鳴り治療のメインとなる「補聴器治療の実際」について解説します。

補聴器によるリハビリ

耳鳴りに対する治療では、軽症の人に対してはカウンセリングのみを行うだけで解消することがほとんどです。一方で症状が強い人には、カウンセリングだけではなく、「補聴器」を利用したリハビリが必要になることもあります。

原因不明と診断される耳鳴りの多くは、「難聴」が原因で起こります。難聴で音が聞こえにくくなると、脳は聞こえない音を一生懸命聞き取ろうとして過剰に活動します。そして、このような脳の過活動が「耳鳴り」という症状として現れます。

そこで、補聴器を使って脳が適切に音を感じることができるようにすることで、脳の過剰な活動を抑えることができて耳鳴りが解消されます。

ただ、補聴器を使用する際に注意しなければいけないことがあります。それは、「従来の補聴器に関する調整法・使用法では、耳鳴り治療は上手くいかない」ということです。従来における補聴器の調整法・使用法の原則には以下に挙げる2つの特徴があります。

・違和感ができるだけ少なくなるように補聴器の音量を調整する(不快感が強い場合には音を下げる)

・補聴器は慣れるまで、短い時間に静かな場所で使用する

こうした補聴器の調整法・使用法では、耳鳴りの治療は上手くいきません。そこで、正しい耳鳴り治療に対する補聴器の調整法・使用法を以下に記します。

・補聴器は、不快感が強くても「本来聞こえるべき音量」を目標にする。最初に不快感が強い場合には、目標の70パーセント程度から始めて3ヶ月かけで徐々に上げていく。基本的に、目標の70パーセント以下に音量は下げない。

・補聴器は、使い初めからできるだけ長時間使用する。できれば、朝起きてから就寝するまで補聴器を付けておく。

このように、耳鳴りを解消するために有効な補聴器の調整法・使用法は、今までの補聴器調整法・使用法の原則とは、大きく異なります。

難聴を持つ人は、ほとんどのケースで、初めは補聴器の音をうるさく感じます。それは、難聴によって周りの雑音が聞こえず、静かな世界で生活していたためです。それが、補聴器によって正常な音が聞こえるようになると、環境が急に変わってしまうため、不快に感じることが少なくありません。

ただ、そうした場合には、音のうるささに代わるように耳鳴りが消失します。一方で、補聴器の音を小さくすると、音の不快感は無くなりますが、耳鳴りが残ることになります。

また、適切な音に対して脳が慣れるまでには、ある程度の時間は補聴器を使用している必要があります。

こうした理由から、耳鳴りに対する補聴器の調整法・使用法は、「音を下げない」「できるだけ長時間利用する」という2点が重要になります。

脳は1週間で音に慣れる

多くの耳鳴りは、補聴器によって適切な音を脳に送ることで解消することができます。ただ、ほとんどの人は補聴器の音を不快に感じて音を小さくします。

しかし、耳鳴りを治すためには、「補聴器の音を下げない」「長時間付けておく」という2つの原則があります。そのため、どれだけ不快感を覚えても、音を下げることは避けるようにしなければいけません。

そして、どれだけうるさく感じていたとしても、1週間も経つと脳が慣れてくるため、あまり不快感を覚えないようになります。

ただ、1週間で慣れてくるためには、「音を下げない」「長時間使用する」という原則が前提となります。この2つの原則さえ守っていれば、1週間もすると補聴器の音が不快でなくなります。

そのため、耳鳴りに対する補聴器リハビリは、最初の1週間が大事だといえます。

今回述べたように、耳鳴りに対する治療としては、補聴器を使ったリハビリが有効です。ただ、補聴器を利用する際には、「音を下げない」「長時間利用する」という原則を守るようにしてください。そうすることで、耳鳴りという問題を解消することができるようになります。