耳鳴りの音域(音の種類)が人によって異なる理由

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耳鳴りは、老若男女さまざまな人が悩まされている症状です。若い人では、交通事故などの何かしらのきっかけがあって耳鳴りが起こり始める人が多いです。一方で高齢者では、特に原因がなく自然と耳鳴りが発生する人が少なくありません。

そうした「老人性難聴」と同じように、加齢が原因だとされる耳鳴りは、基本的には原因不明となります。その結果、適切な治療を受けることができないため、ずっと耳鳴りに悩まされることになります。

また、耳鳴りは人によって音域(音の種類)が異なります。ある人では「キーン」と高音域の耳鳴りが起っている一方で、「ゴーッ」や「ブーン」といったような低音域の音がする人もいます。

このように、一言で耳鳴りといっても、人それぞれ耳鳴りの種類は異なります。こうした耳鳴りの違いを理解するためには、耳鳴りが起こるメカニズムを知っておく必要があります。耳鳴りの仕組みを考えることで、「なぜ人によって耳鳴りの音域(音の種類)が違うのか?」ということを理解できるようになります。

そこで今回は、「耳鳴りの音域(音の種類)が人によって異なる理由」について解説します。

耳鳴りのメカニズム

耳鳴りで病院を受診する人の多くは、さまざまな検査をしても原因が見つからず、原因不明とされます。そのため、適切な治療を受けることができず、耳鳴りに悩まされ続けることになります。

そうした、病院で原因不明とされる耳鳴りの多くには、難聴が関係していることがわかっています

難聴は、大きく分けて「伝音難聴」と「感音難聴」の2つに分類されます。伝音難聴とは、耳の外(外耳)から鼓膜の中にある耳小骨(中耳)と呼ばれる場所までに、何かしらの障害があって耳が聞こえにくくなるものです。

例えば、中耳炎などで音を聞き取りにくくなるのは、伝音難聴といえます。こうした伝音難聴になると、耳鳴りを伴うことが少なくありません。

一方で感音難聴とは、中耳より深部にある蝸牛(かぎゅう)や三半規管といった内耳部分から、音として感じ取る脳、内耳と脳をつなぐ神経のどこかに障害があって音が聞こえにくくなるものです。感音難聴でも、伝音難聴と同じように耳鳴りを伴うことが多くあります。

こうした感音難聴の多くは、検査などによって異常が見つからず原因不明となります

そして、どちらが原因の難聴であっても、難聴によって耳鳴りが発生する理由は脳の過活動に問題があります。伝音難聴でも感音難聴であっても、音の情報が脳に十分に伝わらずに耳が聞こえにくくなります。

そうなると、脳は音情報が少ないことに対して、「もっと音刺激を感じやすくしよう」判断し、過剰に働くことになります。その結果、異常な脳活動が生じて、それが耳鳴りとなって現れることになります。

このように、耳鳴りの多くは、難聴を代償するために起こった脳の過活動が原因で生じます。

耳鳴りの音域が異なる理由

多くの人が悩まされる耳鳴りのほとんどは、難聴が関係しています。音情報が脳へ十分に到達しないために、それを代償して脳が過剰に活動した結果として耳鳴りが生じます。

そして、脳の過活動は、難聴になって聞き取りにくくなった音の音域によって異なります。

例えば、ある病気では低音域や中音域が聞き取りにくくなります。その一方で、疾患の種類や難聴の進行具合によっては、高音域が聞こえなくなることもあります。

どのような音域が聞こえにくくなっても、脳は音情報を十分に集めるために過剰に働きます。ただ、聞こえの悪くなっている音域によって脳の活動も変化するため、それに合わせて難聴の結果として生じる耳鳴りも変わります。

具体的には、低音域が聞き取りにくくなった場合には、低音域を受ける脳の活動が過剰になります。そのため、「ゴーッ」や「ブーン」といったような低音域の耳鳴りが起こります。

一方で高音域が聞こえにくくなった人では、「キーン」という金属音のような耳鳴りが生じます。また、低音域から高音域まで全体的に聞こえが悪い人では「ザー」という耳鳴りとなります。

このように、難聴が原因で起こる耳鳴りは、聞こえにくくなる音域によって変化します

こうした理由から、一言で耳鳴りといっても、人それぞれで耳鳴りの聞こえ方や強さなどが異なります。

今回述べたように、耳鳴りの多くは、難聴が原因で起こります。そして、難聴と一言でいっても、聞こえにくくなる音域は人それぞれ異なります。それと同様に、難聴に伴って起こる耳鳴りも、聞こえづらくなる音域に合わせて変化します。

このように、耳鳴りのメカニズムを知ることで、耳鳴りの種類が人それぞれ異なる原因を理解することができるようになります。