原因不明とされる耳鳴りのメカニズムを解明する

miminari

耳鳴りは、20代の若者から高齢者まで多くの人が悩まされる症状の1つです。ただ、耳鳴りで耳鼻咽喉科を受診した人のほとんどは原因不明と診断され、治療すら行われません。

このように耳鳴りに悩まされる多くの人は、治ることなくずっと症状を抱えたまま生活することになります。

確かに、耳鳴りを訴える人をいくら検査しても、異常が認められないことがほとんどです。しかし、さまざまな研究の結果、耳鳴りの原因が解明されつつあります。そのため、耳鳴りに悩まされている人も、適切な治療が受けられるようになってきています。

そこで今回は、「原因不明とされる耳鳴りのメカニズム」について解説します。

音が聞こえる仕組み

耳鳴りのメカニズムを知るためには、人間が音を聞く仕組みを理解しておく必要があります。そうすることで、耳鳴りについてより深く考えることができるようになります。

私たちは、耳から音を聞きます。そのため、まずは耳の構造について知る必要があります。

耳は大きくわけて「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分に分類されます。そして、外耳は一般的に耳と呼ばれている「耳介」と耳の穴である「外耳道」からなります。

音は、カップ上の形をした耳介で効率的に集められます。耳介に集約した音は、外耳道に入ります。外耳道では音が増幅され、最終的には外耳道の最終地点である「鼓膜」を振動させることになります。

そして、鼓膜から先は中耳になります。中耳は、「ツチ骨」「キヌタ骨」「アブミ骨」と呼ばれる、小さな3つの骨(耳小骨)からなります。外耳を通って鼓膜に伝えられた音は、耳小骨(中耳)を介して内耳まで伝えられます。音は中耳でも、耳小骨によって増幅されて内耳に伝達されます。

中耳からの音が伝わる内耳は、音を聞く蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる部分と、バランス感覚を司る前庭(ぜんてい)と三半規管に分けられます。

音が伝わる蝸牛の中はリンパ液で満たされており、耳小骨(中耳)から伝達された音は、蝸牛内のリンパ液を振動させます。さらに、リンパ液には「有毛細胞(ゆうもうさいぼう)」と呼ばれる、「リンパ液の振動を電気信号に変える」役割を持つ細胞があります。

そのため、音によって蝸牛内のリンパ液が振動すると、有毛細胞が刺激されて音という情報が電気信号として神経に伝えられます。そして、音は最終的に脳へと伝達されて、初めて音として認識されます。

このように、あなたが何気なく聞いている音は、複雑なメカニズムによって音として認識されるようになります。

耳鳴りの原因は難聴にある

耳鳴りに悩む人のほとんどは、病院を受診しても原因不明と診断されるため治療を受けることができません。ただ、耳鳴りのメカニズムは、少しずつですが解明されつつあります。

原因不明といわれている耳鳴りの多くには、「難聴」が関係しています。

難聴が起こる原因は多くありますが、大きく分けると「伝音難聴」と「感音難聴」の2つに分類されます。そして、どちらが原因であっても耳鳴りを引き起こすことになります。

伝音難聴は、外耳もしくは中耳に障害があって音が伝わらないために、その音が聞こえにくくなります。例えば、外耳道に耳垢(みみあか)などが溜まりすぎると音の伝達が悪くなり難聴になります。このように、伝音難聴は検査によって原因が見つかることがほとんどであるため、適切な治療を行うことで耳鳴りが解消します。

一方で感音難聴は、内耳や神経、脳に異常が生じて音が聞こえにくくなります。こうした感音難聴は、検査では原因がはっきりせず原因不明と診断されます

そして、原因がはっきりわからないまま、難聴と耳鳴りに悩まされることになります。病院で感音難聴の人は、「老人性難聴」だとよくいわれます。つまり、年齢のせいで耳が遠くなり、それに伴って耳鳴りも発生しているとされます。

老人性難聴の原因は、加齢による蝸牛の機能低下によるものです。蝸牛内にある有毛細胞の数が少なくなったり、神経の働きが悪くなったりすることで、次第に脳へ音の信号が伝わりにくくなります。

そうなると、脳は電気信号の伝達不足を補うために、脳を過剰に活性化させ電気信号を増幅させます。このように、脳が音情報の不足を補うために頑張った結果、異常な興奮が生じて、この脳の過活動が耳鳴りとなって現れます

このように、多くの原因不明とされる耳鳴りの原因は、脳へ音情報が十分に伝達していないことに対して代償的に起こる現象です。まずは、こうした原因不明とされる耳鳴りのメカニズムをしっかりと理解しておくようにしてください。

今回述べたように、病院で原因不明とされる耳鳴りの多くには感音難聴が関係しています。このように、音が聞こえる仕組みを知ることで、原因不明とされる耳鳴りのメカニズムを明らかにすることができます。