耳鳴りを引き起こす「内耳から脳の病気」

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日本でも、耳鳴りという症状で病院を受診する人は少なくありません。ただ、耳鳴りの多くは、病院で検査をしても原因がわからないことがほとんどです。その結果、適切な治療を受けることができずに、耳鳴りに悩まされ続けることになります。

しかし、耳鳴りの多くには、難聴が関係していることが明らかになっています。そして、難聴の原因を改善することで耳鳴りは解消されます。

そうした耳鳴りを引き起こす難聴は、大きく分けて「伝音障害」と「感音障害」の2つに分類することができます。伝音障害とは、耳垢(みみあか)が詰まったり、中耳炎を起こしたりすることで、耳が聞こえにくくなるものです。

一方で感音障害とは、内耳や脳に問題が生じて、「音の伝わり」ではなく「音を感じる力」が障害されて起こる難聴です。

病院で原因不明とされる耳鳴りの多くは、こうした感音障害が原因であることがほとんどです。そのため、を引き起こす病気を知っておくことは、耳鳴りを理解する上では必須になります。

そこで今回は、感音障害により耳鳴りを引き起こす「内耳から脳の病気」について解説します。

感音障害を引き起こす病気

耳鳴りで病院を受診する人の多くは、原因不明といわれて適切な治療を受けることができません。しかし実際には、原因不明とされる耳鳴りのほとんどには、感音障害が関係していることが明らかになっています。そして、感音障害は内耳から脳に問題があることで起こります。

以下に、内耳から脳に問題が生じることで耳鳴りを引き起こす6つの病気について解説します。

音響外傷、騒音性難聴

ヘッドホンやコンサート会場などで、大音量の音楽を聴いた後に、耳鳴りがしたり、音が聞こえにくくなったりすることは多くの人が経験したことがあるものだと思います。このように、大きな音を聞くことで起こる耳の問題を「音響外傷」といいます。

また同じように、工場やカラオケ店など、常に大きな音がするところで長年働いている人も難聴になることがあります。このようにして起こる難聴は、「騒音性難聴」といいます。

音響外傷の場合には、早期に発見され、ステロイドや血流改善薬、ビタミン剤などを投与することで回復することがほとんどです。

一方で、騒音性難聴の場合、なかなか自覚されにくく病気の発見がかなり遅くなることが多いです。そのため、気づいたときには病気が進行していることがほとんどであり、治療に難渋することが少なくありません。また、騒音性難聴に対する治療法は確立されていないのが現状です。

突発性難聴

突発性難聴とは、いきなり片耳が聞こえなくなる原因不明の病気です。耳が聞こえなくなるだけではなく、耳鳴りやめまいを伴う場合も少なくありません。

突発性難聴の原因としては、ウイルス説や血流障害説など、さまざまな仮説がいわれていますが、はっきりとした答えは出ていません。

しかし、多くのケースでは、安静を保ち発症一週間以内に治療を開始することで、徐々に聴力が回復します。治療としては、ステロイドやビタミン剤、血流改善薬の投与が中心になります。

ただ、治療開始が遅れるほど治りは悪くなるため、早期発見が重要です。

メニエール病

メニエール病とは、めまいや耳鳴り、難聴、耳閉塞感といった症状が繰り返し起こる病気です。メニエール病は、内耳の中にあるリンパ液が過剰に増えることが原因といわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。

メニエール病の多くは、ストレスや不規則な生活が原因で起こると考えられています。

そのため、メニエール病の治療では利尿剤やステロイド、抗不安薬などの投与に加えて、規則正しい生活や有酸素運動を指導されることになります。

外リンパ瘻(ろう)

外リンパ瘻とは、内耳の中にあるリンパ液が中耳に漏れる病気です。内耳と中耳を隔てている部分が、重いものを持つ動作や鼻をかむ、トイレでいきむといった動作を行うことで破れてしまうことが原因で起こります。

実際に、破れるときに「パチン」「ポン」といった破裂音が聞こえる場合もあります。

症状としては、グルグル回るような回転性めまいと難聴、耳鳴りが起こります。突発性難聴やメニエール病と症状が似ているため、間違って診断されることが少なくありません。

基本的には、安静にして穴が自然と塞がるのを待ちますが、手術を行うケースもあります。

急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音障害とは、急に低音部分だけの聴力が落ちる病気です。具体的には、耳の詰まり感があり、周囲の音や自分の声が耳の奥で響くような症状が出現します。また、「ブーン」や「ゴーッ」といったような低音の耳鳴りを伴います。

原因はハッキリしておらず、ストレスや過労が関係しているとされています。

そのため、この病気を治療するためには規則正しい生活をすることが重要になります。加えて、ステロイドや利尿薬などの薬物療法が行われます。

薬物性難聴

抗生物質や利尿薬、抗がん剤の中には、副作用として難聴や耳鳴りが起こるものもあります。

今回述べたように、耳鳴りの多くには、伝音障害と感音障害による難聴が関係しています。そして、感音障害は内耳から脳に問題が生じる病気によって起こります。

耳鳴りには、「音響外傷、騒音性難聴」「突発性難聴」「メニエール病」「外リンパ瘻」「急性低音障害型感音障害」「薬物性難聴」という6つの病気が原因となっている可能性があることを知っておいてください。