メニエール病に対する手術、注射の現状

tyusya

メニエール病は、めまいを主な症状とし、一般人に広く知られている病気です。

一昔前までは、「めまい=メニエール病」と考えられていた程、めまいの原因として有名な病気でした。

このようなメニエール病ですが、原因不明の病気としても知られています。そのため、多くの人が適切な治療を受けることができず、長年病気を抱えたまま生活をしています。

メニエール病に対する治療は、病気の原因がはっきりしていないために、効果が曖昧であるものがほとんどです。

そしてメニエール病の治療では、薬物療法が第一選択とされますが、それでも良くならない場合には、手術と注射による処置が検討されます。

ただ、こうした手術と注射も確立された治療法ではないため、メニエール病の症状に対する効果は非常に曖昧です。さらに、手術や注射には、薬にはないようなリスクも潜んでいます。

そこで今回は、「メニエール病に対する手術、注射の現状」について解説します。

内リンパ嚢開放術

メニエール病は、「内耳(ないじ)」と呼ばれる「耳の奥にあるバランスを保つ器官」にトラブルが起こることで生じると考えられています。具体的には、内耳の中に「内リンパ水腫」という「水ぶくれ」ができることが原因だといわれています。

ただ、この内リンパ水腫ができる原因ははっきりとわかっていません。

メニエール病に対する治療では、最初に溜まったリンパ液を排泄させたり、神経に働きかけてめまいを抑えたりする効果がある薬が処方されます。しかし、そうした薬のほとんどは効果が曖昧であり、症状が落ち着かない人が少なくありません。

そして、薬物療法に効果がないと手術を検討されることがあります。メニエール病に対する手術では「内リンパ嚢開放術」と呼ばれるものが行われます。

内リンパ嚢開放術とは、「内リンパ嚢という袋状になっている場所を切り取ることでリンパ液の排泄路を形成して、リンパ水腫として溜まっている水を減らす」という考えで行われるものです。

ただ、この内リンパ嚢開放術は、科学的に効果が証明されていません。また、実際に内リンパ嚢を切開したとき、一時的に症状が落ち着く人はいても、多くの場合は再発して、しかも症状が悪化しています。

このように、メニエール病に対する手術療法は、科学的裏づけが無い上に、症状が悪化するというリスクがあります。このような曖昧な手術は、少しずつ行われないようにはなってきていますが、「未だに実施している病院がある」というのが現状です。

ゲンタマイシン鼓室内注射

メニエール病に対する治療で、薬物療法、手術を行っても症状が良くならなかった場合に、「注射」という処置を行うケースもあります。メニエール病に対する注射は、「ゲンタマイシン鼓室内注射」と呼ばれます。

ゲンタマイシン鼓室内注射とは、抗菌力が強いゲンタマイシンという抗生物質を、注射によって鼓膜内に注入する治療方法です。

ゲンタマイシンには、抗菌力だけではなく、内耳に対する強い毒性があります。その毒性を生かして、めまいを引き起こしていると考えられる内耳内の感覚細胞を働かないようにして、めまいを起こしにくくすることを狙った治療がゲンタマイシン鼓室内注射です。

確かに、ゲンタマイシンの毒性によってグルグル回る回転性のめまいは落ち着くことがあります。

ただ、ゲンタマイシンによって正常な平衡機能を保つための器官が高い頻度で障害されるため、別の種類のめまいが出現する可能性があります。また、聴覚に関係する「蝸牛(かぎゅう)」という器官にも悪影響を及ぼすため、聴覚障害が高確率で起こります。

このように、ゲンタマイシン鼓室内注射には、回転性のめまいを軽減させる効果がありますが、「新たなめまいを出現させたり、聴覚障害を引き起こしたりする」というリスクがあります

ゲンタマイシン鼓室内注射を行う場合には、こうしたリスクがあることを理解した上で選択することが大切です。

今回述べたように、メニエール病に対する治療において、薬物療法で効果がない場合には、手術療法、注射の2つが検討されます。ただ、手術療法と注射は、どちらも効果が曖昧である上に、後遺症が残るリスクが高いものです。

そのため、こうしたメニエール病に対する手術と注射に関する事実を知った上で、治療の選択を行うようにすることが大切です。