良性発作性頭位めまい症の治療法:エプリー法

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めまいの症状で病院を受診すると、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」という診断をされることが多くあります。日本における、めまい患者の60パーセントの人は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が原因であるといわれています。

そのような良性発作性頭位めまい症(BPPV)に対する治療の1つに、「理学療法士」によるリハビリがあります。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)の多くは、「理学療法士が他動的に頭部を運動させる」などのリハビリを行うことで解消することができます。そして、そうした良性発作性頭位めまい症に対する理学療法の中でも「エプリー法」は最も有名で効果的な方法です。

そこで今回は、良性発作性頭位めまい症(BPPV)に対する治療法である「エプリー法」について解説します。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)の原因

良性発作性頭位めまい症(BPPV)が起こる原因は、耳の奥にある「内耳(ないじ)」と呼ばれるバランス機能を司る部分に起こるトラブルになります。

内耳の中でも、「三半規管」と「前庭器」と呼ばれる2つの場所がバランス機能に大きく関わっています。そして、前庭器におけるバランス機能には、前庭器の中にある「耳石(じせき)」が関係しています。

例えば、バランスを崩して頭が傾くとします。そうした場合、前庭器の中にある耳石が頭の動きに伴って移動して、頭の傾斜具合を感知します。そして、その耳石によって感じられた情報は脳へ送られて、姿勢や動作といったようにバランスを保つための行動に役立てられます。

しかし、このような役割がある耳石が、何らかの理由によって前庭器から三半規管に入り込んでしまう場合があります。そうなると、三半規管の働きが妨げられてしまいます。

このように、耳石が三半規管に入って三半規管の機能が低下した結果としてめまいが生じる病気が、良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。

そのため、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の改善には、三半規管内に入り込んだ耳石を動かして、三半規管が正常に機能するように誘導する治療やリハビリが必要になります。

エプリー法

三半規管内に入った耳石を動かす方法の1つとして「エプリー法」があります。エプリー法とは、アメリカの耳鼻科医であるJ・M・エプリー氏が開発した治療法であり、1992年に論文として発表されました。

エプリー法は、「理学療法士が患者さんの頭を一定の手順に沿って動かすことで、重力の影響を利用して三半規管内の耳石をもとの前庭器に戻す」という方法です。

ただエプリー法は、「前半規管」「外側半規管」「後半規管」という3つの中でも、後半規管のトラブルにのみ有効な方法だということを理解しておいてください。そのためエプリー法は、眼振検査によって問題が後半規管にあると診断された人のみに効く治療法になります。

エプリー法の具体的な手順を以下に記します。これは、左側の三半規管に問題があったときの方法です。頭の保持と動作の誘導は、理学療法士が行います。

・ベッド上に仰向けで寝て、首から上をベッドの上方から出します

・頭は少し反った状態で左に45°程度回転させ、この姿勢を眼振が消えるまで保ちます

・眼振が消えたら、首を反対方向に90°回して(右に45°回した状態)30秒ほど保ちます

・頭の位置はそのままに保ち、体全体を回転させて頭と体の向きを一致させます(頭、体共に横向きの状態)

・そのまま回転してうつ伏せの状態になり、その姿勢を30秒保ちます

・うつ伏せからひざを曲げて起き上がり、正座の姿勢になります

・正座の姿勢で首を45°程度前方に傾けて30秒程度保持します

エプリー法は、以上のような手順で行います。基本的には、「眼振検査 → 後半規管のトラブル発見 → 理学療法士によるエプリー法」という流れで治療を行います。

既に述べたように、エプリー法はあくまで検査によって後半規管に耳石が入っている場合に有効な治療法です。そのためエプリー法は、こうした眼振検査によって後半規管のトラブルが発見されたケースにのみ行われる治療だということを理解しておいてください。

今回述べたように、良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、三半規管に耳石が入り込むことで起こる病気です。そして、三半規管に入った耳石を取り除く方法としてエプリー法は有効な手段の1つとして知られています。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)の治療には、こうした方法があるということを知っておいてください。