耳鳴りと自律神経の関係性

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耳鳴りは、病院を受診しても原因不明と診断されやすい病気の1つです。耳鳴りの症状で病院を訪れても、適切な診断や治療を受けることができない人がほとんどです。

しかし実際には、耳鳴りの原因は明らかになってきています。ただ多くの医師は、そうした耳鳴りのメカニズムについて理解していないため、適切な診断と治療を行うことができません。その結果、いくつかの病院を受診しても「原因不明」で片付けられることになります。

そして、耳鳴りを持つ人の多くは、長い間症状に悩まされています。それは、耳鳴りが脳だけでなく自律神経に深く関わっていることが関係しています。

そのため、耳鳴りと自律神経の関係性を理解しておくことは、耳鳴りを慢性化させないために非常に重要になります。

そこで今回は、「耳鳴りと自律神経の関係性」について解説します。

自律神経の基礎知識

耳鳴りは、原因不明と診断されて数十年という長期間に渡って悩まされる人が多い病気です。そして、そのように症状が慢性化する原因には、自律神経が深く関係しています。そのため、長期化する耳鳴りを理解するためには、自律神経について学ぶことが欠かせません。

自律神経とは、胃腸や心臓、血管などの臓器を無意識下でコントロールする神経です。寝ているときに心臓が止まることなく動き続けることや、食べ物を意識することなく消化できるのは、自律神経が心臓や胃腸を調整しているためです。

そして、自律神経は大きく分けて「交感神経」と「副交感神経」の2つに分類されます。

交感神経は、日中の活動時や興奮時、ストレス負荷時などに強く働く自律神経です。交感神経が優位に活動すると、心拍数や血圧が上昇するため、心臓がバクバクした状態になり、体は全体的に戦闘体勢になっています。

一方で副交感神経は、体がリラックスしているときに強く働く自律神経です。そのため、副交感神経の活動が優位になると、心拍数や血圧は落ち着きます。また、胃腸は副交感神経の作用によって活発に動くようになるため、結果的に消化や排便などが促されます。

こうした自律神経の特徴から、過剰なストレスが加わり交感神経の活動が過剰になると、不眠や胃腸の不調、便秘などが起こりやすくなります。

耳鳴りと自律神経の関係性

自律神経は、交感神経と副交感神経に分類されており、お互いが拮抗的に作用しあっています。そして、不安や怒りといったような感情は、精神的なストレスとして働き交感神経の活動を強くします。

耳鳴りの原因は、脳の過剰な働きにあるとされています。ただ耳鳴りの原因とは別に、耳鳴りを過剰に意識しすぎることでも脳に悪影響を及ぼすようになります。

耳鳴りが出現し始めても、最初のうちは耳鳴りがときどき起こる程度であるため、あまり気にすることなく生活します。しかし、ある決まったタイミングや日時に耳鳴りが出現し始めると、どんどん耳鳴りを意識するようになります。

その結果、うつや不安に関係する「前頭前野」や、物事の注意に関わる「帯状回」、苦痛によって働く「扁桃体(へんとうたい)」といったような、脳のさまざまな部位が関わり、「苦痛のネットワーク」が作られます。そうなると、わずかな耳鳴りであっても、非常に苦痛を感じるようになります。

このような状態になると、耳鳴りを「危険な音」として捉えるようになります。その結果、耳鳴りによって交感神経の興奮が促されることになります。

そして、交感神経の興奮が高まった結果、不眠や動機、肩こり、頭痛、倦怠感などのさまざまな不調が出現します。また逆に、自律神経の乱れや生活習慣の崩れは、苦痛のネットワークに作用することで、さらに耳鳴りを治りにくい状態にさせます。

極めつけは、病院で医者から「あなたの症状は治りません」「原因がわかりません」「気にしすぎです」という言葉をかけられることで、不安や怒りなどの感情によって、自律神経の乱れがさらに強くなります。

このように、耳鳴りが長期化する原因は脳と自律神経の関係にあることを理解しておくことが大切です。

今回述べたように、耳鳴りが慢性化しやすい原因は、耳鳴りと脳や自律神経が深く関係していることにあります。そのため、長期化した耳鳴りを改善するためには、耳鳴りの原因だけでなく、自律神経との関わりを考えながら治療を行うことが大切になります。