薬の乱用を避けるために行う頭痛の予防治療

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頭痛が慢性化する要因の1つに、「薬剤の乱用」が挙げられます。痛みが強く、生活に支障をきたしたり、発作が起こることに恐怖を感じたりするような状態になると、薬を大量に飲むようになる人が少なくありません。

それは、「痛みから解放されたい」や「頭痛が起こるのが怖い」という感情から起こる行動です。そして、実際に薬を飲んだ後は、症状が少し楽になります。

ただほとんどのケースでは、通常より薬の効く時間が短く、すぐに発作が再発するようになります。その結果、また薬を飲んで対処するようになるため、どんどん薬の量が増えていき、問題がさらに複雑になります。

このように、薬物を乱用することで発症する頭痛を解消するためには、薬を止めることが欠かせません。しかし、いきなり薬を止めることが難しい人は少なくありません。そうした際には、予防的な治療を行うことが効果的になります。

頭痛が起こる前に予防薬を利用することで、少しずつ薬への依存を減らしていくことができるようになります。

そこで今回は、「薬の乱用を避けるために行う頭痛の予防治療」について解説します。

予防治療を行うべきケース

頭痛の中でも、薬物を乱用することで起こる頭痛に対しては、基本的に予防的な治療を行うことになります。

また、毎日のように頭痛が起こり、発作が発症してから薬を飲んでも間に合わないようなケースに対しても予防治療は有効です。そして、具体的には以下のような症状が認められる場合には、予防治療を行うことをお勧めします。

・1ヶ月に2回以上の発作が起こる

・頭痛治療薬(トリプタン製剤など)の服用が月に6回を超える

・頭痛の前兆症状が頻繁に起こる

・薬物の乱用が見られる

以上のようなケースでは、予防治療が有効になります。そして、予防治療は、約2週間から1ヶ月ほどで効果が出始めます。その後は、少しずつ薬の服用量を減らしていき、予防治療を始めて約3ヶ月後に薬を止めます。

こうした予防治療に使われる薬は、効果が約半年間は持続することがわかっています

ただ、その後に頭痛の発作が続くようであれば、予防薬ではなく痛みを取り除く薬(トリプタン製剤など)を利用します。また、頭痛が悪化してきた場合には、再度予防薬を使って、痛みの発症を事前に抑えるような治療を行います。

このように、薬物使用過多による頭痛に対する治療は、予防治療と発作時の治療を上手く組み合わせて薬を減らしていきます

予防治療薬

薬物乱用による頭痛に対しては、予防治療を行うことが効果的です。予防治療には、頭痛の発作を事前に抑える薬が使われます。そうした予防薬を利用することで、発作の頻度や重症度、持続時間を減らすことができたり、生活への支障を軽減させたりすることができます。

そして、薬物使用過多による頭痛に対する予防薬には、主に「バルプロ酸ナトリウム(デパケン)」と「塩酸ロメリジン(テラナス、ミグシス)」の2つがあります。

●パルプロ酸ナトリウム

パルプロ酸ナトリウムは、てんかん発作に対して処方される薬です。商品名は「デパケン」といい、神経の興奮を抑制する作用があり、片頭痛などに対しても効果が認められています。

日本頭痛学会のガイドラインにおいても、その効果が認められており、最も評価が高い「グレードA」となっています。これは、頭痛に対して「行うよう強く勧められる」ということを意味しています。

パルプロ酸ナトリウムの効果は高く、予防薬としては、多くの人が第一選択薬として使用しているものです。

ただ、パルプロ酸ナトリウムは、十分な量を飲まないと効果を発揮しない場合があります。中には、副作用を心配して服用量を減らす人がいますが、そうしてしまうと予防薬として機能しません。

そのため、パルプロ酸ナトリウムが処方されたときには、しっかりと規定された量を服用するように注意してください。

●塩酸ロメリジン

塩酸ロメリジンは、高血圧に対する薬としても知られています。商品名は「テラナス」や「ミグシス」といい、カルシウムの取り込みを抑えることで、血管の過剰な拡張を抑制します。

日本頭痛学会のガイドラインでは、パルプロ酸ナトリウムよりは低い「グレードB」とされています。ただグレードBは、「行うよう勧められる」ということを意味しており、パルプロ酸ナトリウムと同じくらい予防薬として使われています。

日本においては、主に以上に挙げた2つの薬剤が予防薬として利用されています。

今回述べたように、薬物使用過多による頭痛を解消するためには、予防治療が有効です。頭痛が起こる前に発作を抑えることで、薬の乱用を止めることができます。

ただこうした予防治療は、あくまで薬を止めるためのステップでしかありません。そのため、そのことを十分に理解した上で治療を受けることが大切です。